化学工学論文集
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28 巻, 1 号
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移動現象,流体力学,混合
  • 亀井 登, 平岡 節郎, 加藤 禎人, 山崎 桂子, Yutaka Tada
    原稿種別: 技術論文
    専門分野: 移動現象,流体力学,混合
    2002 年28 巻1 号 p. 9-15
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    パドル翼,傾斜パドル翼,並びにタ-ビン翼を備えた撹拌槽の混合時間に及ぼす翼および邪魔板条件の影響について検討した.まず,邪魔板なしの場合における混合時間に及ぼすトレーサーの投入位置の影響を明らかにした.また,種々のトレ-サー投入位置における混合時間と邪魔板条件の関係を調査し,邪魔板条件パラメータnb0.8Bw/Dが0.1以上では各トレーサー投入位置に関係なく混合時間がほぼ一定値をとることを示した.
    次に,混合時間に及ぼす翼条件の影響を調査した.まず,翼条件パラメータnp0.7b/d)を用いて,邪魔板条件下でのパドル翼に対する混合時間の相関式を提案した.また,邪魔板なしの場合の混合時間はd/D≦0.3の範囲においては邪魔板条件下での混合時間と一致することを示した.同様に,傾斜パドル翼に対しても,翼条件パラメータをnp0.7bsin1.6θ/d)と修正することで,邪魔板条件下での混合時間がパドル翼に対する相関式で整理できること示し,また,邪魔板なしの場合の混合時間がd/D≦0.4の範囲においては邪魔板条件下での混合時間と一致することも示した.
  • 山根 岳志, 吉田 正道, 宮下 尚
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 移動現象,流体力学,混合
    2002 年28 巻1 号 p. 49-54
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    本研究ではNa2CO3水溶液の2層の濃度成層を側方加熱冷却したときに発生する二重拡散対流に対して,レーザホログラフィー実時間干渉法を適用し,得られる干渉縞から局所濃度の算出を試みた.それには,干渉縞は等屈折率線と一致すること,屈折率は温度と濃度によって決まることが利用され,その結果,擬定常状態における任意時間の局所濃度分布が干渉縞と実測された局所温度分布から算出された.また,干渉縞より求められた濃度と別途行ったサンプリング法により求めた濃度との比較を行ったところ,両者の一致は非常に良好であり,本結果による濃度計測の信頼性は高く,十分実用的であることが明らかとなった.
  • 両角 仁夫, 中元 基嗣, 深井 潤, 宮武 修
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 移動現象,流体力学,混合
    2002 年28 巻1 号 p. 55-60
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    本研究では,2液滴衝突によるガス吸収促進効果に関して数値解析により検討した.被吸収ガス成分を含む静止気体中において2液滴が正面衝突する場合について,Lagrangian有限要素法により解析した.Weber数の増加とともにガス吸収速度は増加し,静止液滴の場合と比較すると最大で約4倍向上した.さらに,液滴内部の流れ場および濃度場の解析結果から,液滴衝突によるガス吸収促進機構について考察した.衝突直後の初期段階において,液滴内部に存在する低濃度の液体が液滴表面へと供給され,濃度境界層の厚みが薄くなるため,ガス吸収速度は向上する.一方,液滴変形の後半の段階では,濃度場がすでに発達しているためガス吸収は十分に促進されないことが示された.
  • 小糸 康志, 丸田 康弘, 田中 和義, 宮武 修
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 移動現象,流体力学,混合
    2002 年28 巻1 号 p. 95-101
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    プロセス用蒸気製造と海水脱塩を目的として作動液にNaC1水溶液を用い,ノズルを通して減圧下の蒸気相に放出した際に生ずる作動液の自己蒸発,すなわち,スプレーフラッシュ蒸発を誘起させると,作動液の過熱度が8K以下の場合には,作動液に水を用いた場合よりも液柱の微粒化が抑制され,特に過熱度が6K以下の場合には,液柱が微粒化せず気泡流の様相を呈し,蒸発効率が低下する.本研究では,作動液に水を用いた場合とNaCl水溶液を用いた場合のスプレーフラッシュ蒸発現象を比較検討することにより,不揮発性溶質の存在による蒸発の抑制原因について追究した.
    液柱内で成長を開始した気泡群は,ノズル出口からわずかな位置において互いに接触し始め,作動液内に不揮発性溶質が存在する場合,気泡の成長に伴って気泡壁液側で濃縮された溶質が気泡群の接触により気泡壁に残されるので,気泡壁での溶質の存在による沸点上昇が顕著になる.作動液の過熱度が小さい範囲では,この沸点上昇により気泡群の成長速度が激減するため,液柱の微粒化は抑制され気泡流の様相を呈するようになると考えられる.
  • 岩田 修一, 新垣 勉, 森 秀樹, 堀 好伸, 大坪 賢一
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 移動現象,流体力学,混合
    2002 年28 巻1 号 p. 102-109
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    大規模系を対象とする有限要素法を用いた粘弾性流体の流動解析において,低メモリ-型解析手法の開発はますます重要な課題となっている.本報では,係数マトリックスがブロックの集合体であり,そして各ブロックがそれぞれボックスから構成されていることに着目し,‘ボックス’型データ格納法という新しいデータ格納法(BOX法)を提案する.‘ボックス’とは,コンパクトで規則的な集合体の最小単位であり,マトリックス内の非零成分はすべてこのボックス内に格納される.この手法のメリットを最大限に引き出すためソルバーとして自乗共役勾配法(CGS法)を用い,BOX法を構成方程式に適用した.また,運動方程式・連続式に対し,連続性の拘束条件下で各速度成分と圧力を別々に解く分離型解法のPP法(Pressure Projection method)(Haroutunian et al.,1993)を適用した.本報では,両手法を組み合わせたBOX中PP法を粘弾性流体のダイスウエル流動解析に適用し,ワイゼンベルグ数We=150における解析結果を与え,また,従来型の分割型有限要素法と同等の結果が得られ,CPU時間ならびにメモリー使用量の改善が見られることを示した.
  • 中山 昭男, 利光 良文
    原稿種別: ノート
    専門分野: 移動現象,流体力学,混合
    2002 年28 巻1 号 p. 118-120
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    飽和プール核沸騰熱伝達促進を得るために,伝熱面にネジ付きフィンを取り付けた.得られた知見は次のとおりである.ネジ付きフィン伝熱面は,ネジ部とネジを取り付けた箇所の伝熱面の隙間が気泡核を供給し,その伝熱面の熱伝達係数は,水平平面伝熱面の飽和プール核沸騰熱伝達係数と比して,最大4.6倍の熱伝達係数促進を得た.また,伝熱面に取り付けたネジ付きフィン数の増加および伝熱面圧力の減少と共に大きな伝熱促進を得た.さらに,本実験の範囲内でネジ付きフィン伝熱面による飽和プール核沸騰熱伝達の無次元表示式を得た.
触媒,反応,反応器設計
  • 井土 忠厚, 吉川 貴浩, 晋 工, 後藤 繁雄
    専門分野: 触媒,反応,反応器設計
    2002 年28 巻1 号 p. 88-94
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    回分反応器と流通反応器を使って,プロモブタンとフェノールからブチルフェニルエーテルを合成する反応について研究を行った.相聞移動触媒としてポリエチレングリコール(平均分子量3,000),有機溶媒にドデカンを用いたとき,水相の水酸化カリウム濃度が高くなると第3相が形成した.第3相の体積はフエノールを加えると増加したが,塩基強度は減少した.その結果,回分反応器におけるエーテル生成速度はフェノ-ル濃度に対して極大値を持った.
    相分離型流通式撹拌槽反応器は第3相を効率よく利用できるように工夫した流通反応器である.この反応器では,反応物を直接第3相に供給し,第3相近傍のみ撹拌を行い,生成物のブチルフェニルエーテルを含んだ有機溶媒を連続的に取り出した.反応速度は,流通反応器においてもフエノール濃度に対して回分反応器と同様の傾向を示した.供給したフェノールが完全に消費されたときに定常反応操作を行うことができた.
  • 佐藤 伸明, 大門 裕之, 藤江 幸一
    原稿種別: ノート
    専門分野: 触媒,反応,反応器設計
    2002 年28 巻1 号 p. 113-117
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    グリシンの水熱反応に関する研究を,温度260~340°C,圧力30MPaの範囲で行った.グリシン分解による主な生成物は,アミン類,有機酸類および炭酸であることを確認した.これらの生成物から,高温高圧水中におけるグリシンの分解は,脱アミノ反応と脱炭酸反応によって生じていることが示唆された.また,グリシンの分解速度は,実験条件の範囲内において,グリシンの濃度に一次反応として表すことができた.
分離工学
  • 高瀬 久男, 加藤 尚武
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 分離工学
    2002 年28 巻1 号 p. 61-66
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    重金属によって汚染された土壌からイオン交換膜を用いたドナン透析操作を利用して金属イオンの回収を試みた.模擬土壌としてベントナイトを,汚染物質として,鉛イオンおよびカドミウムイオンを用いた.実験は陽イオン交換膜(セレミオンCMV)を用い,処理液(フィード液)および回収液を循環する回分式で行った.処理液を水溶液および土壌を含むスラリー溶液について実験を行った.
    計算はイオン交換膜中のイオンの移動を考慮したNernst-Planck式より求めた非定常濃度分布式と膜両側の液境膜物質移動抵抗の式および土壌からの吸着速度式を考慮した式よりフィード液及び回収液の非定常濃度変化を計算した.土壌からの金属イオンの透析操作による分離の可能性について実験と計算により検討した.実験値と計算値はほぼ-致した.
  • 原稿種別: 研究論文
    専門分野: 分離工学
    2002 年28 巻1 号 p. 67-72
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    近年,地球環境問題に対する懸念が高まるなか,高温で使用できる気体分離膜のニーズが高まりつつある.我々は,熱的,化学的安定性に優れたセラミック分離膜の開発を進めており,SiO2-ZrO2膜の開発を行った.ジルコニア源として無機塩であるオキシ塩化ジルコニウムを使用し,有機テンプレート剤として臭化テトラプロピルアンモニウムを使用することで0.6nm付近の細孔を制御し,高温においてCO2/N2分離が可能となった.SiO2-ZrO2膜は573KでCO2/N2透過係数比7を示した.
粉粒体工学,流動層
  • 篠田 栄司, 吉田 健二, 福井 国博, 吉田 英人
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 粉粒体工学,流動層
    2002 年28 巻1 号 p. 36-42
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    閉回路粉砕・分級プロセスの非定常特性及び安定操作条件に関して数値シミュレーション及び実験による検討を行った.粉砕機及び分級機の性能特性についての実験結果を基に数式化を行い,分級機からの戻りを考慮して各粒子径ごとの物質収支を逐次的に解いた.実験では炭酸カルシウム(質量中位径D50=36μ
    m)及びフライアッシュ(質量中位径.D50=16μm)を用いた.
    フライアッシュを用いた場合には,繰り返し粉砕により粉砕性能低下が生じていることが明らかになり,これを考慮した数値計算によりプロセスの挙動を予測できた.
    一方,粉砕性能の低下しない炭酸カルシウムの実験値は計算値と良く一致した.
    また安定操作条件に関して図を利用した解析を試み,粉砕限界径(Dp,A)及び分級限界径(Dp,B)を適切に定義することにより,繰り返し粉砕による粉砕性能低下がある場合及びない場合においてプロセスが安定化するための条件式を導出した.
  • 立元 雄治, 馬渡 佳秀, 濟藤 孝博, 多知 哲也, 竹下 武成, 野田 勝嗣
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 粉粒体工学,流動層
    2002 年28 巻1 号 p. 43-48
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    流動媒体粒子と射出粒子からなる流動層を用い,射出粒子の挙動を調べた.高速度デジタルビデオカメラを用いて,気泡破裂によって射出された粒子の速度を測定した.また,射出後の粒子周りのガス速度をスモークワイヤ法によって可視化し,得られたガス速度を運動方程式に代入し,射出粒子の速度を計算した.
    気泡破裂後,気泡上方のガス速度が空塔速度以上になることおよび射出粒子に対するガスの相対速度が射出粒子の終末速度以上になると射出粒子が加速することが確認された.また,気泡破裂後の粒子周りのガス速度を決定することにより,射出粒子の速度および高さの計算が可能となり,計算結果は実測値と良好に一致した.
  • 石川 敏, 下坂 厚子, 白川 善幸, 目高 重助
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 粉粒体工学,流動層
    2002 年28 巻1 号 p. 82-87
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    粒子径分布測定に用いる試験用ふるいの分離特性に及ぼす目開き分布の影響を検討した.まず,確率モデルにもとづき,目開き分布を考慮したふるいの分離粒子径の推算式を導いた.公称目開きが250μmで目開き分布を異にする3つの試験用ふるいと4種類のアルミナ研磨材を用いたふるい分け実験では,目開き分布が広くなるにつれて分離粒子径が大きくなったが,提案した推算式はこの関係をよく表現する.推算式を用いて分離特性に及ぼす目開き分布の影響を考察したところ,正確な粒子径分布測定を行うには,変動係数が約3%以下の目開き精度を必要とすることが分かった.また,目開き分布が広いほど分離精度は低下する.さらに,ふるい分け時間が長くなるにつれて分離粒子径は大きくなり,分離精度は低下する.この結果から,ふるい分け粒子径分布測定には最適なふるい分け時間が存在することを明らかにした.
  • 森脇 徹
    原稿種別: ノート
    専門分野: 粉粒体工学,流動層
    2002 年28 巻1 号 p. 110-112
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    円筒容器の中における混線後の湿潤粉体の圧縮試験において,圧縮係数mを導入して,圧縮層内の任意のレベルyと,その点の圧力pとの関係を明らかにし,その係数mと圧縮に供した材料の混線成果(例えば結合剤の材料に対する分散σ2)との間に相関のあることを見いだした.また材料は良く練られるほど,圧縮試験における容器の内壁問との摩擦が増加すると言う推論が導かれ,併せて係数mが材料の混線成果の指標になることが解った.
  • 西村 顕, 星野 博司, 小林 敬幸, 架谷 昌信
    原稿種別: ノート
    専門分野: 粉粒体工学,流動層
    2002 年28 巻1 号 p. 121-124
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    空気流入と閉止の二つの連続する期間が一つのサイクルとして操作されるパルス流動層の気泡特性,圧力損失ならびに層膨張について,二次元可視化装置を用いて検討した.閉止期間に層全体で静止層が形成される閉止期間の長いサイクルでは,閉止期間の短いサイクルと比べて,空気流入開始時における粒子層の空隙率の減少に起因して,最大圧損,層膨張高さが増大することならびに気泡のアスペクト比が小さくなることが明らかになった.
プロセスシステム工学
  • 黒岡 武俊, 西谷 紘一, 長谷部 伸治, 橋本 伊織
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: プロセスシステム工学
    2002 年28 巻1 号 p. 16-24
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    全還流型バッチ蒸留塔では,還流槽ホールドアップを一定に保つ運転を続けるのみで望みの製品を得ることができる.近年,この操作の容易性から全還流型バッチ蒸留塔が見直されてきている.しかしながら,系に種々の外乱が生じる場合,還流槽ホ-ルドアップ一定の条件で塔を運転しても,スペックを満たす製品が得られるとは限らない.本研究では,塔中央に設置した中間貯槽が,外乱抑制に与える影響について検討した.
    まず,様々な条件に対して迅速に動的シミュレーションを実施するために,無限段を仮定した蒸留モデルを提案した.提案したモデルの妥当性を検証した後,そのモデルを用いて中間貯槽の外乱抑制効果について調べた.外乱としては,還流槽ホールドアップの設定誤差および不適切な制御系による還流量の振動現象を取り上げた.そして,塔に中間貯槽を設置することにより,それらの外乱が製品組成に与える影響を大きく軽減できることを明らかにした.さらに,中間貯槽を設置することにより,多くの場合分離に要する時間を短縮できることを示した.
生物化学工学,食品工学,医用工学
  • Hao Yan, 乗富 秀富, 長浜 邦雄
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 生物化学工学,食品工学,医用工学
    2002 年28 巻1 号 p. 31-35
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    学習能力向上,健脳作用等の生理活性が注目されているドコサヘキサエン酸(DHA)に着目し,Candida rugosa起源の加水分解酵素リバーゼ(CRL)を利用してマグロ油の加水分解を行い,グリセリド型DHAを濃縮することを試みた.
    同一濃度(0.1M)のリン酸緩衝液,クエン酸一リン酸緩衝液及びマレイン酸/Tris/NaOH緩衝液を用いて,CRLによるマグロ油の加水分解反応を40℃で行い,加水分解に対するpH及び緩衝液種の影響について検討した.純水を用いた場合の加水分解率(55%)に比べ,いずれの緩衝液を用いた場合でも約85%の高い加水分解率を達成することができた.初期pH=6.8のリン酸系緩衝液を用いた場合,28時間後のグリセリド中のDHA含量は原料の約3倍に濃縮できることが分かった.また,加水分解されたマグロ油中にモノグリセリドは蓄積されず,ほとんどがトリグリセリドであり,DHAはトリグリセリド及びジグリセリド型に濃縮されることがわかった.
  • 熊田 陽一, 冨岡 寛治, 加藤 滋雄
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 生物化学工学,食品工学,医用工学
    2002 年28 巻1 号 p. 77-81
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    高いシグナル強度および特異性を得るためにパーオキシダーゼ(HRP)を包括した抗体結合リボソームを調製し,リボソーム固相免疫測定(LISA)を行った.リン脂質膜透過性の基質を用いることによって,発色過程においてリボソームの破壊を必要としない方法を開発した.粒子径を増加させることで内水相に多量のHRP分子を包括でき,多数の抗体を固定化して高い特異性を得ることができた.酵素固相免疫測定法(ELISA)と比較して,LISAは非常に高いシグナル強度を示し,2桁程度,低濃度領域まで検出可能であった.したがって,LISAは低濃度サンプルの免疫測定に有効である.
安全,環境,エネルギー
  • 小野 哲夫
    原稿種別: 技術論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2002 年28 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    CWMの製造コスト低減のためには,微粉炭からCWM製造する必要がある.しかしながら,乾式粉砕
    で得られた微粉炭は強い疎水性を示すことから,水との混線が比較的困難である.そこで,石炭粒子表面
    に付着している空気を真空にすることによって脱着し,そこに水を供給して付着させることにより,石炭
    粒子を容易に濡らすことが可能なことを予備実験によって確認した.これを,混気ジェットポンプに微粉
    炭を吸引させることによって脱気させ,そこに混気ジェットポンプの駆動水を吸着させて微粉炭を濡らす
    方法を提案した.ワークワース炭を用いた実験でこれを確認した結果,微粉炭の濡れが容易になり,迅速
    に混線されてCWMが製造できた.さらに,この方法によって製造されたCWMの性状は濃度70%で粘
    度900mPa・sとなり,従来の湿式ボールミルによって製造したものと同等の性状であった.
  • 高島 正, 福西 直子, 西機 忠昭, 小西 康裕
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2002 年28 巻1 号 p. 25-30
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    化学独立栄養細菌T.denitrificansの連続培養実験(30°C,pH7.0±0.3)を嫌気条件下で行い,硫化水素の液相酸化に関する量論および速度論について検討した.溶存硫化水素がT.denitrificansによって等モルの硫酸塩に完全に酸化されると同時に,硫化水素の酸化量に対してモル比で1.6倍の硝酸塩が窒素ガスに還元された.また,硫化水素の消費量と菌体の生成量は比例し,菌体収率は基質濃度に無関係に一定値をとった.比増殖速度の実測値は,溶存硫化水素濃度(0.03~3・61mol・m-3)および硝酸塩濃度(0.02~19.8mol・m-3)を制限因子とするMon0d型増殖速度式を適用して定量的に表現できた.嫌気条件下におけるT.denitrificansの最大処理能力は,溶存硫化水素の酸化に対して0.566×10-14mol・h-1・cell-1であり,硝酸塩の還元に対して0.906×10-14mol・h-1・cell-1であることが明らかになった.
  • 小池 国彦, 栗山 寛繁, 井上 吾一, 山本 剛, 福崎 智司
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2002 年28 巻1 号 p. 73-76
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    放電式オゾナイザーから発生する5voH%程度の低濃度オゾン(残り酸素)を,吸着剤としてシリカゲルを用いた吸着分離技術により濃縮し,70vol%以上の超高濃度オゾンを大気圧にて製造し,この高濃度オゾンを予め電解研磨したステンレス表面に室温下で作用させ,その表面からの超純水中への溶出する金属濃度の低減効果を調べた.その結果,80°Cまでの純水環境ではオゾン処理した表面からの溶出金属量は,オゾン処理していない表面からの溶出金属量と比較して1/3以下に低減することが明らかとなった.これは,オゾンの強力な酸化力によってステンレス表面に緻密な酸化不働態皮膜が形成され,活性化エネルギーが3倍以上大きくなり,結果として電気化学的な酸素消費型湿食反応が抑制されたためと考えられる.しかしながら,このオゾン処理による酸化不働態皮膜では,純水温度が80°Cを越える場合における水素発生型湿食反応を抑制することができないことも確かめられた.
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