抄録
Erythritol(融点119°C,潜熱量340 kJ/kg)に各種の多価アルコールを添加することにより,給湯温度域の有機系潜熱蓄熱材の新規開発を目指した.Erythritol–多価アルコールの2成分系混合PCMの融点および潜熱量はDSCを用いて測定した.多価アルコールとしては,Trimethylolethane, Trimethylolpropane, 2-Ethyl-2-methyl-1,3-propanediol, Pinacol, Dithioerythritol, Xylitol, Sorbitolを用いた.本実験によって得られた潜熱量および融点は,それぞれ2成分系混合物の融解に関する理想エンタルピー変化および固液系熱力学平衡から得られる推算値と比較した.
その結果,Erythritolに多価アルコールを加えた2成分有機系PCMの潜熱量は,おのおの両成分の重量分率に対する潜熱量の和によって2乗平均誤差13%以内の精度で推算可能であった.また融点については,溶液の活量係数も考慮した理想溶解度の式によって7%以内の誤差で推算可能であることが明らかになった.