化学工学論文集
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カオリンに吸着した(4-chloro-2-methyl phenoxy)acetic acidの超音波抽出および分解
藤田 隆文澤崎 円松田 仁樹小島 義弘朝倉 義幸小林 和人
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2006 年 32 巻 5 号 p. 454-460

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抄録
模擬土壌としてカオリンに吸着した有機塩素系除草剤(4-chloro-2-methyl phenoxy)acetic acid (MCPA)からの超音波抽出ならびに分解実験を行った.
MCPA含有模擬土壌スラリーに対して周波数527 kHz,出力 21 Wの超音波を照射した実験では,超音波を照射しない場合に比べて短時間でより高いMCPA抽出率が得られ,超音波の照射によるMCPAの抽出促進効果が認められた.MCPA含有模擬土壌スラリーへの超音波照射実験において,抽出液中のMCPA濃度は超音波の照射開始とともに増加し,極大値をとった後,さらなる超音波照射によって減少した.反応の経過とともに,MCPAおよび中間生成物の超音波分解によって生成する抽出液中のCl濃度は増加した.
一方,MCPA含有模擬土壌スラリーの超音波分解とMCPA水溶液の超音波分解を比較すると,MCPA含有模擬土壌の分解率の方が低いことが認められた.この超音波照射下におけるカオリンに吸着されたMCPAの低い分解効率はMCPA含有模擬土壌からのMCPA抽出に対する物質移動抵抗,ならびに過剰なカオリン粒子による超音波の減衰によるものと考えられた.
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© 2006 公益社団法人 化学工学会
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