化学工学論文集
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反応工学
浸漬発芽工程排液に含まれる微生物の薄層光触媒による不活性化に及ぼす光強度の影響
菅原 靖菅原 勝康菅原 拓男
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2009 年 35 巻 3 号 p. 287-292

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抄録
ステンレス板担体に市販酸化チタン光触媒コーティング剤を塗布乾燥して調製した薄層光触媒を用い,発芽玄米製造における浸漬発芽工程排液の珪藻土ろ過により得た一般生菌含有溶液を,ブラックライトランプ照射下で不活性化した場合の光強度の影響について速度論的な観点から検討を行った.
菌の不活性化は352 nm照射光強度の影響を受け,ランプ本数を増やすほど誘導期が短くなり,不活性化はより速やかに進行した.
微生物の不活性化速度を決定する因子を有効光強度Ieffおよび微生物濃度Cと考え,誘導期が短い不活性化データに対して速度論的な解析を行った結果,反応速度式を次式で表現できた.
-dC/dt=k·Ieff·C
ここで有効光強度Ieffは,受光強度Iの下で光触媒表面上に生成した活性種を通して微生物不活性化に有効に作用する光強度と定義した.その絶対値は,ランプ本数一定の条件下,ランプ光触媒間距離r2,溶液厚さlそれぞれが最小値(r2=2.5×10−3 m,l=1.0×10−3 m)の下での受光強度Iを基準値とし,一般に,照射光強度I0r2),溶液厚さlおよび溶液光吸収率μの関数と考えた.
有効光強度Ieffは照射光強度I0が大きくなるにつれて増加したが,有効光強度と受光強度の比度Ieff/Iはほぼ一定であった.
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© 2009 公益社団法人 化学工学会
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