日本機械学會論文集
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繰返應力による殘留應力の變化のX線的研究
西原 利夫平 修二三谷 哲夫森本 隆興
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1948 年 14 巻 48-1 号 p. 107-113

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抄録

繰返應力の殘留應力におよぼす影響は,實際上重要なる問題である.従來は,殘留應力は繰返應力によつて變化しないものとして取扱われているが,筆者等は殘留應力を有している軟鋼板形試驗片に繰返曲げ應力を與えて,X線的應力測定法により,應力繰返數の増加に伴なう殘留應力の變化を觀察した結果,殘留應力は繰返數の増加と共に,對數曲線的に減少し,遂にある繰返數において消滅し,そののちは殘留應力の消えたまゝの状態で破壊にいたることを明らかにした.從つて,殘留應力が材料の疲勞強さにおよぼす影響は餘り大なるものでなく,むしろ殘留應力を生ぜしめた加工による材質の變化の影響の方が大であることを明らかにした.

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