杏林医学会雑誌
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原著
ナノ秒時間分解レーザーフラッシュフォトリシス装置を用いた一重項酸素に対するカプサイシンの消去活性に関する研究
小林 由佳高松 由佳仲座 春菜島田 正亮岡田 洋二大瀧 純一
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2015 年 46 巻 4 号 p. 255-261

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抄録
 唐辛子の辛味成分であるカプサイシン(capsaicin,CAP)の一重項酸素(1O2)に対する消去活性を,ナノ秒時間分解レーザーフラッシュフォトリシス装置を使用して定量的に検討した。その結果,1O2に対するCAPの二次反応速度定数(kQ)は7.7×105 M-1sec-1で,既知の抗酸化物質であるα- トコフェロール(kQ:1.9×108 M-1sec-1)や1O2消去剤である2, 5-diphenyl-3, 4-benzofuran(kQ:2.8×109 M-1sec-1)と比較して非常に低い消去活性だったが,1O2の自発的消去速度定数(8.3×104 sec-1)よりは速い消去活性を示した。そこで,CAPの1O2消去活性部位を特定するために,CAPの主要骨格であるグアヤコール構造を有する各種誘導体の1O2消去活性を測定し,比較検討した。その結果,グアヤコール骨格を持たずCAPのacetamide部位を有するN-benzylacetamideには1O2消去活性が全く認められなかったことから,CAPの1O2消去活性部位はグアヤコール骨格部分のフェノール性水酸基であることが推測された。また,グアヤコール骨格のフェノール性水酸基に対してパラ位に置換されている側鎖の種類によっても1O2消去活性が影響されることが明らかになった。
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© 2015 杏林医学会
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