杏林医学会雑誌
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特集「ロボット手術は汎用技術となるか?」
ロボット支援膀胱全摘除術
武藤 智
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2019 年 50 巻 2 号 p. 89-92

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抄録

 開放性膀胱全摘除術(ORC)は浸潤性膀胱癌に対する標準治療である。しかしその侵襲性は高く,周術期の有害事象は決して許容できるものではない。ロボット支援膀胱全摘除術(RARC)はORCに代わる低侵襲手術として2003年に登場した。本邦でも2018 年より保険収載され,既に多くの施設で浸潤性膀胱癌に対する根治治療として行われている。さらに尿路変更についても,以前は尿路変更術に関してintracorporeal かextracorporeal か意見が分かれていたが, 最近では尿路変更術もintracorporealで行うことを支持する報告が多い。しかし,確立された術式は未だ存在せず,RARCを経験した一部の施設で積極的にトライされている。われわれは2012年11月に1例目のRARCを行い2019 年3月までに42例行っている。ICUD 回腸導管造設術も既に現在の術式で10例以上経験し,膀胱摘出に2時間,尿路変更に2 時間で術後合併症なく行うことが可能になった。本稿ではわれわれのRARC の経験を中心に概説する。

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