2000年頃までは,進行期の非小細胞肺癌(Non-small-cell lung cancer : NSCLC)および小細胞肺癌(Small cell lung cancer)の治療薬は細胞障害性抗がん薬が中心であったが,生存期間中央値は1年にも満たず,また重篤な有害事象が出現することが多かった。しかし,2002年に上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬が登場してからNSCLCの予後は飛躍的に延び,細胞障害性抗がん薬と比較して重篤な有害事象も少なくなった。2010年代中盤に入り,抗Programmed cell death 1(PD-1)/抗(PD-1 ligand 1)PD-L1抗体,抗cytotoxic T-lymphocyte associated protein-4(CTLA-4)抗体といった免疫チェックポイントを標的とした抗体療法が登場し,これまでの標準治療が塗り替えられつつある。以前は,進行期NSCLCで5年間生存している患者はほとんど存在していなかったが,PD-1/PD-L1阻害薬単独または他剤との併用にて,長期生存する患者も一定数存在するようになっており,またED-SCLCにおいては,約20年ぶりに新規レジメンが登場している。しかし,どのような集団にPD-1/PD-L1阻害薬を投与すべきかが確立されていないため,今後は対象をより適切に選択する指標を作成することが重要である。