杏林医学会雑誌
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特集「ここまできたがん免疫療法」
免疫チェックポイント阻害薬の副作用 ~神経領域~
市川 弥生子
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2020 年 51 巻 3 号 p. 239-245

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抄録

免疫チェックポイント阻害薬の神経領域における副作用は,頻度は低いが,病変が中枢神経から末梢神経,神経筋接合部,骨格筋にまでおよび,多彩であることが特徴である。がんの直接浸潤や傍腫瘍性神経症候群,過去のがん治療における副作用の影響も考慮しなければならず,免疫チェックポイント阻害薬を起因とする有害事象の診断は容易ではない。
免疫チェックポイント阻害薬の免疫関連有害事象には,自己免疫性脳炎,重症筋無力症,筋炎,Guillain-Barré症候群のような重症化しやすい疾患が含まれる。これらの疾患が,通常の神経内科臨床とは異なる病像をとりうること,急速に進行し,重篤な経過をとることに注意が必要である。神経系の免疫関連有害事象に,ステロイドを主体とした免疫抑制治療は有効であり,迅速な診断と,適切な治療が求められる。がん専門医と脳神経内科医とで診療にあたる必要がある。

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