2021 年 52 巻 3 号 p. 157-161
IVRは近年「画像下治療」と呼ばれ,診断のみならず多くの治療を行っている。日本IVR学会ではIVRの認知を広めるために解説動画を作成し,広く公開している。画像下治療による非常に多くの治療が可能であるが,一方で専門性も高くなり,放射線科のみならず循環器内科や脳神経外科・神経内科,心臓血管外科領域でも非常に多くの医師が携わっている。そんな中で放射線科IVRにも比較的新しい手技が報告されている。その中の一つにリンパ管のIVRがある。現在,鼠径リンパ節穿刺から造影を行い,さらに乳び叢を穿刺することでカテーテル挿入を行い,胸管塞栓を行う。また骨転移による疼痛緩和目的のTAEや子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術(UAE)なども比較的新しい治療といえる。さらに末梢血管のステントグラフトは日本でのみ血管損傷の適応を受けており,塞栓術に変わる新たな治療法となっている。また杏林大学形成外科は全国でも有数の血管奇形患者の治療機関であるが,動静脈奇形の一部は静脈を塞栓することでその根治が得られる可能性があることが近年分かってきた。加えて,より複雑なAVMの硬化療法に有用と考えられる4D-DSA装置のHybrid手術室への導入が決定しており,さらに最新の治療が可能となることが期待されている。また救命救急の2アーム血管造影装置の更新も間近に迫っており,最新機器の導入を含め,これからの杏林大学での画像下治療IVRには大きな期待がされている。