Papers in Meteorology and Geophysics
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原著論文
温度成層のある乱流境界層内における乱流拡散 (風洞実験)
加藤 真規子
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1981 年 32 巻 4 号 p. 323-339

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抄録
 温度成層のある乱流境界層の中で、点源 (点源の高さ0.1∼9cm) による乱流拡散実験を行い、温度、風速に関する乱流量と濃度分布を測定した。乱流境界層の厚さは約10cmで、つくられた温度成層は、安定な温度成層の場合の平均的な温度勾配が約1.5K/cm、不安定の場合で -1.8K/cmであった。乱流場と拡散場は温度成層の影響を受け、不安定の場合には風速の乱れが大きくなり、拡散の度合も中立の場合に比較して大きかった。安定の場合はこれと反対の傾向を示した。流れに直角な水平方向の濃度分布は正規分布を示した。また、地上線源拡散の場合に、濃度分布から直接に鉛直方向拡散係数Kz を算出した結果は、Kz が高さに比例することが得られているが (Kato and Sakagami、1966)、温度成層がある場合にもKz が高さに比例することが判った。このKzはSakagamiの式による拡散係数とよく一致した。
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© 1981 気象庁気象研究所
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