日本内科学会雑誌
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Technetium-99m-pyrophosphateシンチグラフィーで著明な心筋集積を認めた家族性アミロイドポリニューロパチーの1例
川嶋 彰本郷 実松岡 健曽我 直子山田 博美大久保 信一平山 二郎藤井 忠重草間 昌三
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1985 年 74 巻 6 号 p. 774-779

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抄録

症例は59才の男性.長野県上水内郡出身で,兄弟2人がfamilial amyloid polyneuropathy (FAP)と診断されている.四肢遠位部のしびれ感,下腿の疼痛,インポテンツ,排尿困難などの症状を有し,心電図異常を指摘されて当科へ入院した.入院時現症は血圧96/60mmHg,脈拍66/分,整. IV音を聴取.肝,脾,腎は触知せず,浮腫はない.四肢遠位部に筋萎縮,筋力低下, paraesthesiaおよび解離性感覚障害を認める.胸部X線像上CTRは51%で,心電図は第1度房室ブロック,左軸偏位, V1-3でQS型を示す.心エコー図では心室中隔,左室後壁は著明に肥厚し,前者はgranular sparklingの像を呈した. Tc-99m-PYPシンチでは心筋,肝,甲状腺にびまん性かつ高度の集積が認められた.冠動脈造影上異常なく,心筋生検でアミロイド沈着を確認し, FAPと診断した. FAPにおける心筋シンチグラフィーの陽性所見は,これまでにKulaらの1例がみられるにすぎないまた,他のFAP自験例では集積は軽度であり,本例はきわめてまれな症例と思われる.

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