工業化学雑誌
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炭酸ガス圧の異なる雰囲気中の石灰石の分解速度
田川 博章須藤 文明
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1958 年 61 巻 8 号 p. 946-948

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抄録

炭酸カルシウムと炭酸ガス,酸化カルシウムとの間には平衡関係があるために,熱分解速度は雰囲気中の炭酸ガスの圧力に依存する。炭酸ガス圧が異なる場合に分解速度の受ける影響について研究した。
約2gの立方体石灰石を温度750℃ から1050℃ の間で,炭酸ガス圧0,50,100,200,400mmHgの範囲で分解させ,重量減少量を熱天秤を使って知るとともに,その量から分解速度を求めた。
分解率α,分解速度v,時間t,立方体試料の1稜の長さ2Rとの間に, ほぼvt=R{1-(1-α)1/3} の関係がなり立つ。この式から求めた速度はArrheniusの式を満足するが,logv-1/Tの直線は900℃ の近辺に折点が現われ,それより高い温度領域と低い領域の見掛けの活性化エネルギーの著しく異なることが見出された。真空中の場合に高温側で18.8kcal/mol,低温側で36.6kcal/mol,炭酸ガス圧が増した場合には活性化エネルギーは大きくなる傾向にある。

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