工業化学雑誌
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高品位溶成苦土リン肥のフッ素とク溶率
安藤 淳平
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1958 年 61 巻 8 号 p. 942-946

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抄録

最近,溶成リン肥工業上の重要な課題となっているCP21~23%の高品位リン肥の製造に必要な諸条件を明らかにした。TP20%程度以下のリン肥では,リン肥中のフッ素はほとんどク溶率に影響しないが,TP22%程度以上ではフッ素がリン肥のク溶率を支配する主要な要素となる。これはリン肥中のリン酸石灰濃度が高くなるため,フッ素が多いと融液を水冷してもアパタイトの結晶が急速に生成するからである。ク溶率98%程度以上のリン肥を製造するためには,TP24,23,22%の場合にリン肥中のフッ素はそれぞれ0.7,1.0,1.3%程度以下であることを必要とし,またこの際リン肥の融解にはそれぞれ1410,1400,1390℃ を必要とする。これ以上高温に溶融してもフッ素が多ければ高ク溶率のものはえ難い。
現在の脱フッ率30~40%の操業条件下では,フロリダリン鉱石(F=3.4~3.8%)ではTP22%程度,マカテアリン鉱石(F=2.5~3.0%)ではTP23%程度が高ク溶率のリン肥をつくりうる限度となる。フッ素を減少させるには融液が薄層になって水蒸気とよく接触するような機構が最も効果的であると思われる。

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