工業化学雑誌
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大きさの異なる石灰石の熱分解の機構
由川 博章
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1959 年 62 巻 7 号 p. 970-973

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抄録

石灰石の大きさが熱分解の速度ならびに分解の機構に与える影響について研究した。
1稜の長さ2,4,6cmの青海産石灰石を立方体に切出したものを試料として,分解温度850~1300℃の範囲で,熱分解による減少量を熱天秤を使って調べ,これから分解速度を求めた。
分解率α,分解速度v,立方体の1稜の長さ2Rとの間には,いずれの分解温度,石灰石の大きさについてでもvt=〓の関係が成り立つ。したがって分解速度は反応界面の面積に比例することが認められる。また,その速度は石灰石の大きさが大きいほど小さくなるが, いずれの大きさの場合でもArrheniusの式を満足する。しかしながら,logv-1/Tの関係は950℃付近に折点を有する直線である。これらの直線から求めた高温域と低温域の見掛けの活性化エネルギーはそれぞれ20,40kcal/molになる。このことから分解の機構は950℃付近で変わるが, 石の大きさに依存しないことがわかった。

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