日本農芸化学会誌
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納豆菌による粘質物の生成に関する研究(第3報)
糸引納豆の粘質物について(その1)
藤井 久雄
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1963 年 37 巻 7 号 p. 407-411

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抄録

(1) 市販糸引納豆から粘質物を純粋に分離し白色粉末状に得ることができた.収量は原料納豆(湿重)の0.1~0.8%であった.
(2) 粘質物構成のアミノ酸としては,グルタミン酸だけで他のアミノ酸は見いだされなかった.これらのグルタミン酸はグルタミン酸ポリペプチドの形で存在すると推定された.なおこのグルタミン酸はL-型とD-型との混合物で, D-型が59.3~87.0%を占めていた.
(3) 粘質物構成の糖としては,フラクトースだけで他の糖はなく,フラクトースはフラクタンとして存在していると考えられた.
(4) 納豆粘質物は上記のグルタミン酸ポリペプチドとフラクタンとだけから成っていたが,両者の量比は試料により相当の差異を示した.

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