日本農芸化学会誌
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37 巻, 7 号
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  • 斎藤 和夫
    1963 年 37 巻 7 号 p. 371-374
    発行日: 1963年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    FMの褐変は,溶液のpHによって影響をうけ,アルカリ側に傾くに従って褐変が促進された.この場合,水酸イオンは触媒として作用していることを指摘した.実験に供した糖はすべてFMの禍変を促進し,なかんずくキシロースの影響が最も著しかった.また褐変に伴ってFMの抗菌力も失活していった.しかし失活に及ぼす影響は糖の種類によって異なり,褐変に及ぼす影響とは必ずしも一致しなかった.窒素化合物の中では,グリシン.も褐変を促進した.アミノ・カルボニル反応の抑制剤は,よくこの褐変を抑制した.
    以上の結果にもとづき, FMはアミノ・カルボニル反応によって褐変と抗菌力の失活を起すものと結論した.
  • 河北 俊彦, 林 金雄
    1963 年 37 巻 7 号 p. 375-378
    発行日: 1963年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    家蚕におけるGAの生理的機能を追求し,次の結果を得た.
    (1) 生理的障害を負荷した蚕児に対し,桑葉にGAを添加して飼育したところ,蚕児の成長・発育および生存に良好な結果を得,収繭量において増加を認めた.
    (2) 人工飼料にGAを添加して飼育したところ,同様に蚕児の成長・発育および生存によい結果を示し,結繭も良好であった.
    (3) 蚕児の糞の常成分の一つとしてGAが排泄されること,桑葉にGAと抱合型をとり得る薬物を添加して.飼育するとGAの排泄量が増大すること,排泄されたGAの形態は抱合型のものが多いこと等を明らかにした.
    (4) 蚕消化管内囲食膜から,ヒアルロン酸様物質であるムロ多糖類を分離した.
  • 反芻獣第1胃内発酵菌群の活性とキシラン及びペクチンの効果について
    湊 一, 斉 敏行, 遠藤 明, 村上 健夫, 植村 定治郎
    1963 年 37 巻 7 号 p. 379-384
    発行日: 1963年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Warner型人エルーメン内で基質としてキシランあるいはペクチンをそれぞれ4%添加し, 3°, 4時間ないし8時間培養時におけるルーメソ発酵菌群の活性をV. F. A.産生を中心に検索した.その結果.
    (1) いずれの基質添加時にも全V. F. A濃度が増加し,キシラン基質で2.21mM/dl,ペクチン基質で3.50mM/dlの産生があり,澱粉,蛋白質に比べ分解され難いが繊維素よりも遙かに易分解性であった.
    (2) キシラン添加時には産生されたV. F. A.のうち,酢酸,プロピオン酸の増大があり,ペクチン基質では酢酸の増大が著しく,それぞれ基質を特徴づけるV. F. A.産生型がえられた.
    (3) ルーメン内容物のガーゼ濾液を遠心処理してえた4区分と,処理前のガーゼ濾液区との5種の区分について,キシラン及びベクチンよりの還元糖生成能,並びにV. F. A.生成能を調べた.その結果,還元糖生成能はすべての区分にあるが, V. F. A.産生能は菌を含まない上清区以外にのみみられ,このうちガーゼ濾液区が最も強く,これらの基質よりのV. F. A.産生には菌群の関与が推定された.
  • 山下 要子, 清水 碩, 玉置 英之助
    1963 年 37 巻 7 号 p. 385-388
    発行日: 1963年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) ニコチンの最初の分解物としてN-メチルミオスミンを生成するnon-6-OH-type菌を,ラセミ体ニコチンを基質として培養すると, l-体のみを酸化してd-体を残すので,この方法により理論量の60~80%の収量でd-ニコチンを得ることができた.
    (2) non-6-OH-type菌のcell-free extractは,レニコチン,シュドオキシニコチンを基質にした場合,それぞれ1分子にたいして1½, 1分子の酸素を吸収した.この結果はl-ニコチン→N-メチルミオスミン→シュドオキシニコチン→gamma;-ケレ-γ-(3-ピリジル)ブチリックアシドという分解経路を示している.
    (3) non-6-OH-type菌のcell-free extractは, l-ニコチン分解に際して, DPN, TPN,メチレンブルー,煮沸したcrude extractを必要としない.
    (4) ニコチンの最初の分解物として6-OH-ニコチンを生成する6-OH-type菌は, d-ニコチンをも分解するから,ラセミ体ニコチンよりd-ニコチンの分離にもちいることはできない.
    (5) 6-OH-type菌のcrude extractは, d-, dl-, l-ニコチンの分解に,メチレンブルーの添加を必要とする.
  • 三品 冏良, 二国 二郎, 清水 寿夫
    1963 年 37 巻 7 号 p. 389-392
    発行日: 1963年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 卵白の泡立ちにおける蛋白質の不溶化現象について
    中村 良, 佐藤 泰
    1963 年 37 巻 7 号 p. 393-397
    発行日: 1963年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    卵白を攪拌法によって起泡せしめた際に泡沫中に生ずる不溶物を,不溶化蛋白質と考えてこのものの化学分析を行なった.その結果,ここに得られた不溶化蛋白質はその約1/3がオボムシン(B)よりなり,残りがオボムシン(B)以外のすべての卵白構成蛋白質よりなることが推定された.また,オボムシン(B)及びリゾチームを添加した場合の卵白を起泡して生ずる不溶化蛋白質の分析を行なうことにより,オボムシン(B)がリゾチームとは別に不溶化することを推定した.
    なお,オボムシン(A)及び(B)の泡立ちを,同一濃度において比較すると,いずれも他の卵白構成蛋白質に比してよいことが認められた.
    終りに本実験に供試した鶏卵の入手に配慮いただいた名古屋畜産学研究所に謝意を表します.また,本報告の一部は昭和36年4月,日本農芸化学会大会で講演したものである.
  • TTC重層法による酵母の分別について (1)
    古川 敏郎, 秋山 裕一
    1963 年 37 巻 7 号 p. 398-402
    発行日: 1963年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 協会7号酵母変異株を用いた山廃〓の生態学的観察
    秋山 裕一, 古川 敏郎
    1963 年 37 巻 7 号 p. 403-406
    発行日: 1963年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 糸引納豆の粘質物について(その1)
    藤井 久雄
    1963 年 37 巻 7 号 p. 407-411
    発行日: 1963年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 市販糸引納豆から粘質物を純粋に分離し白色粉末状に得ることができた.収量は原料納豆(湿重)の0.1~0.8%であった.
    (2) 粘質物構成のアミノ酸としては,グルタミン酸だけで他のアミノ酸は見いだされなかった.これらのグルタミン酸はグルタミン酸ポリペプチドの形で存在すると推定された.なおこのグルタミン酸はL-型とD-型との混合物で, D-型が59.3~87.0%を占めていた.
    (3) 粘質物構成の糖としては,フラクトースだけで他の糖はなく,フラクトースはフラクタンとして存在していると考えられた.
    (4) 納豆粘質物は上記のグルタミン酸ポリペプチドとフラクタンとだけから成っていたが,両者の量比は試料により相当の差異を示した.
  • 葉たばこ中のアルカロイドの加熱処理による変化
    小橋 友助, 山下 雄右, 渡辺 美穂子
    1963 年 37 巻 7 号 p. 412-416
    発行日: 1963年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 葉たばこ中の揮発性物質は,温度の上昇とともに減少するが,その割合は在来種,バーレー種よりも黄色種の方が大であり,その差はとくに130°から140°の問で顕著である.
    (2) 葉たばこを加熱処理すると110°までにいわゆる遊離ニコチンの揮散が起る. 110°から120°の間ではあまり変化しないが, 120°以上になるとニコチンは温度が上昇するに従って急激に減少する.しかし在来種およびノルニコチン型の黄色種である紅葉では遊離ニコチンに相当する部分が顕著に認められない.
    (3) 紅葉を加熱処理したさいのノルニコチンの減少率はニコチンよりも高く,とくに130°付近ではその差が顕著であり,ニコチンの減少率が30%であるのに対して,ノルニコチンは2倍の60%の減少率を示している.しかしノルニコチン型の在来種である指宿葉では,その減少率はニコチンと大差なく,とくにニコチンよりも揮散しやすい状態で存在するとは考えられない.また紅葉および指宿葉を加熱処理したさいに揮散した部分中のノルニコチンは,ともにニコチンに比ベて非常に少なく,また両アルカロイドを熱分解したさいに生成するミオスミンあるいはピリジン誘導体の量も,ニコチン型の葉たばこの場合と変らないことから,ノルニコチンは揮散後ニコチンよりも化学変化を受けて重合物質を生成しやすいものと推定される.
  • カテキンの酵素酸化について
    滝野 慶則, 今川 弘
    1963 年 37 巻 7 号 p. 417-422
    発行日: 1963年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    茶葉カテキン類の個々の成分につき酵素酸化反応を行い,反応の経過を定性的,定量的に比較攻究し,次の結果を得た.
    (1) (+)カテキン,エピカテキン,ガロカテキン及びガロカテキンガレートを各単独に茶葉酸化酵素と反応させると,それぞれ特有の酸化生成物を生じ,特にo-dihydroxyphenol型カテキンとvic-trihydroxyphenol型カテキンの間に差が著しい.
    (2) (+)カテキンとガロカテキンの混合酸化ではvic-trihydroxyphenyl基を有するガロカテキンの減少が先に進行し,その大部分が減少してから(+)カテキンの減少が認められる.
    (3) 赤血塩試薬で呈色するフェノール性生成物としては,ガロカテキンから生ずるA1とA2,ガレートから生ずるC,及び両者混合酸化の際のB物質が顕著で,かかる物質を生ずるのはvic-trihydroxyphenyl基を有する化合物の特色と認められる.
    終りに当り,有益な御助言をいただいた東京農業大学山本 亮教授,九州大学大島康義教授ならびに茶葉酸化酵素の調製に便宜を与えられた埼玉県立茶業研究所吉田宏之技師に感謝いたします.
  • 火入醤油の褐変における3-デオキシオソン類並びにフルフラール類の意義
    加藤 博通, 桜井 芳人
    1963 年 37 巻 7 号 p. 423-425
    発行日: 1963年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • セッケンの物理化学的研究 第7報
    野口 駿, 仁科 哲夫
    1963 年 37 巻 7 号 p. 426-431
    発行日: 1963年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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