(1) ニコチンの最初の分解物としてN-メチルミオスミンを生成するnon-6-OH-type菌を,ラセミ体ニコチンを基質として培養すると,
l-体のみを酸化して
d-体を残すので,この方法により理論量の60~80%の収量で
d-ニコチンを得ることができた.
(2) non-6-OH-type菌のcell-free extractは,レニコチン,シュドオキシニコチンを基質にした場合,それぞれ1分子にたいして1½, 1分子の酸素を吸収した.この結果は
l-ニコチン→N-メチルミオスミン→シュドオキシニコチン→gamma;-ケレ-γ-(3-ピリジル)ブチリックアシドという分解経路を示している.
(3) non-6-OH-type菌のcell-free extractは,
l-ニコチン分解に際して, DPN, TPN,メチレンブルー,煮沸したcrude extractを必要としない.
(4) ニコチンの最初の分解物として6-OH-ニコチンを生成する6-OH-type菌は,
d-ニコチンをも分解するから,ラセミ体ニコチンより
d-ニコチンの分離にもちいることはできない.
(5) 6-OH-type菌のcrude extractは,
d-,
dl-,
l-ニコチンの分解に,メチレンブルーの添加を必要とする.
抄録全体を表示