日本農芸化学会誌
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キシラナーゼによるキシラン含有天然物からキシランの加水分解抽出について
(1) 前処理によるキシランの易分解化
日下部 功安井 恒男小林 達吉
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1976 年 50 巻 5 号 p. 199-208

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抄録

キシラン含有天然物から, Streptomyces sp. E-86のキシラナーゼでキシランを加水分解柚出することを目的とし,多種類の試料に対する前処理の効果,水解抽出液の糖組成, corncobsからキシロースの調製法などについて実験を行ない,次の結果を得た.
1.無処理の天然物キシランに対しても,酵素はある程度作用したが,希アルカリ溶液や高温湿熱による前処理は,キシランを易分解化し,酵素によるキシランの水解抽出率は著しく高められた.さらに,アルカリによる前処理は,多種類の試料に対して有効であった.
2.水解抽出液の構成糖(酸水解後)は,キシロースが大部分であったが,そのほかにアラビノースやグルコースなども生成された.しかし,精製酵素による実験では,グルコース量は極端に減少した.また,セルラーゼ作用のないキシラナーゼでも,キシランを水解抽出することが可能であった.さらに,キシロース/アラビノース比は,天然物キシランのその比と大差は認められなかった.
3. Corncobsの水解抽出液は,キシロースとキシロビオースが主産物であったが,数種のアラビノースを含むキシロオリゴ糖も含まれていた.
4. Corncobs 1 kg (ペントサンとして333g含有)を5% NH3で前処理し,水洗後,酵素でキシランを水解抽出した.さらに希酸水解を行ない,精製・濃縮し,結晶キシロース189gを得た.

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