脳と発達
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重症心身障害児 (者) の家族介護の現状と課題
小沢 浩加藤 郁子尾崎 裕彦石塚 丈広有本 潔木実谷 哲史
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2007 年 39 巻 4 号 p. 279-282

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抄録

介護者および心身障害児 (者) の現状について, アンケートによる検討を行った.対象は, 島田療育センターに通院している心身障害児 (者) (知的障害のみは除外) 390名である.男性116名, 女性86名, 計202名 (回収率51.8%) の介護者の回答が得られた.障害児 (者) の年齢は, 15歳以上が98人 (49%) とほぼ半数を占めていた.状態は, 移動に介助が必要な, 寝たきりと一人座り可能な障害児 (者) が144人 (71%) 存在した.在宅訪問サービスの利用については, ひとつも利用していない128人 (63%) であり, 在宅訪問サービスの利用は充分でなかった.介護者において高齢化の波は押し寄せており, 主たる介護者は母親であり他の人の協力は得られていなかった.また, 介護を負担に感じており, 過半数が病気を抱えていた.将来に対しては, 施設に預けたいと思っている人は45人 (22%) に過ぎなかった.介護が限界となる介護者は, 後10-20年には急増すると思われる.グループホーム, 施設など介護者が選択できるように社会の環境を整備する必要があると考える.

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© 日本小児小児神経学会
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