1995 年 38 巻 2 号 p. 216-221
甲状腺の分化癌は, 他の悪性腫瘍に比較して予後が良い疾患で, 前頸部腫瘤を主訴とすることが多い。今回我々は, 巨大頭頂部腫瘤を主訴とした甲状腺濾胞癌の頭蓋骨転移例を報告した。頭部腫瘍の診断のもとに切除術が施行され, 病理組織学的診断にて甲状腺癌の転移が疑われた。精査の結果, 甲状腺腫瘍が認められ, 甲状腺は全摘した。頭部転移巣は極めて易出血性であったため, 2回に分けて全摘したが, 出血量の軽減に塞栓術は極めて有用であった。術後約1年の現在, 経過良好で, 切除可能ならば積極的に手術すべきと思われる。