日本臨床外科学会雑誌
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右胃大網動脈瘤破裂にて発症したsegmental arterial mediolysis (SAM)の1例
成田 洋伊藤 誠中村 善則福井 拓治加藤 克己中村 明茂宇佐見 詞津夫
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2002 年 63 巻 10 号 p. 2428-2432

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抄録

Seglnental arterial mediolysis (SAM)は成人の腹部内臓動脈を中心とする筋性動脈壁の平滑筋がフィブリンや肉芽組織に置換され,中膜は菲薄化し動脈解離や瘤破裂などの原因となる稀な病態である.最近われわれは慢性関節リュウマチの既往のある, 55歳,女性に発生したSAMの1例を経験したので報告する.主訴は腹痛である.腹部CT検査で腹腔内出血と横行結腸間膜に沿って広範囲にひろがる血腫像を認め,また腹部血管造影で右胃大網動脈起始部に一致してextravasationと思われる造影剤の溜まりを認めた.右胃大網動脈ないしはその周辺動脈の破綻による出血と考え開腹術を行った.術中所見より右胃大網動脈瘤破裂と診断,瘤切除を行った.摘出標本の病理組織所見よりSAMによる動脈瘤破裂と最終診断された. SAMは,今後急性腹症の鑑別に際し念頭に置くべき疾患の1つである.

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