日本臨床外科学会雑誌
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63 巻 , 10 号
選択された号の論文の49件中1~49を表示しています
  • 政次 俊宏, 山下 弘幸, 村上 司, 渡辺 紳, 内野 眞也, 山下 裕人, 野口 志郎
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2353-2357
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    1990年2月より2002年3月までに当院で原発性副甲状腺機能亢進症の手術をうけ,異所性副甲状腺腫であった19例について,術前部位診断と手術所見を検討した.年齢は60.4±10.8歳(43~77歳).性別は女性17例,男性2例.部位は,甲状腺内11例(57.9%),縦隔内5例(26.3%),咽頭・食道背側2例(10.5%),気管と甲状腺の間1例(5.3%)であった.縦隔例は1例のみ胸骨切開を要した.病的腺検出率は頸部超音波検査で21,4%,99mTc-MIBIシンチグラムで50.0%,頸・胸部CTは33.3%, 頸部MRIは40.0%, Tl-Tcシンチグラムは14.3%. 内頸静脈サンプリングによる病変側検出率は66.7%であった.異所性副甲状腺を見逃さないためには術前部位診断と発生をふまえた解剖を熟知した術中の丁寧な検索が重要である.
  • 大久保 澄子, 田中 克浩, 野村 長久, 山本 裕, 池田 雅彦, 山本 滋, 紅林 淳一, 園尾 博司
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2358-2361
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    当科で経験した小児・若年者甲状腺癌14例について検討した.男女比1:2.5, 年齢6~19歳だった.主訴は頸部腫瘤が13例と最も多く,術前診断は血中サイログロブリン値測定と穿刺吸引細胞診が比較的診断率が高かった.手術方法は全摘6例,亜全摘7例,葉切除1例で,リンパ節郭清は12例に行った.全例乳頭癌でリンパ節転移陽性は10例(71%)だった.肺転移は3例(21%)に認めたが現在全例生存中である.小児・若年者は早期からリンパ節転移や肺転移をきたしやすいため,正確な術前評価,手術方法の決定,厳重な術後経過観察が必要だと考えた.
  • 松尾 康治, 前多 松喜, 加藤 岳人, 鈴木 正臣, 柴田 佳久, 尾上 重巳, 長澤 圭一, 佐藤 太一, 田井中 貴久, 河原 健夫, ...
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2362-2367
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    乳腺粘液癌は比較的稀で,予後良好な腫瘍として知られている.過去21年間に当科で経験した粘液癌は23例(1.8%)であった.これらを臨床病理的に見直し,臨床的特徴,予後,縮小手術の可能性について検討した.病理学的に浸潤性乳管癌成分の有無により純型と混合型に亜型分類されるが,術前画像診断や病理学的診断では鑑別困難であった.粘液癌全体で腫瘍径3cm以下では腋窩リンパ節転移は0%, 3cmを超えるものでは50%であり,純型では浸潤性乳管癌と比較して腋窩転移率が有意に低かった.乳管内進展と腫瘍径は相関性がなかった.以上の結果と文献的考察から,術前診断で粘液癌が疑われる場合は,腋窩非郭清を標準とし,腋窩郭清の適応は腫瘍径が3cmを超えるかどうか,リンパ管侵襲の有無,浸潤性乳管癌成分の有無により二期的に決めるという治療方針が選択肢に成り得ると考えられた.温存療法の適応になる腫瘍径は浸潤性乳管癌より拡大できる可能性がある.
  • 本田 五郎, 荒井 光広, 亀崎 真, 大島 茂樹, 箕田 誠司, 志垣 信行, 瀬井 圭起
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2368-2373
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    当院で早期胃癌に対し,腹腔鏡下胃局所切除術を行った41例について検討した.本術式の適応基準は,内視鏡的胃粘膜切除術(EMR)に準じた.手技はLesion lifting法40例,その他1例であった.手術時間は平均118分,出血量は中央値10gであった.何らかの理由で小開腹を追加したのは5例(12.2%)であったが,術後経過には影響しなかった.根治性の問題または合併症により再手術を要したのは4例(9.8%)であった.合併症は,胃の排出障害を7例,ドレーン抜去部からの出血を1例,狭窄を1例認めた.胃の排出障害は小網の剥離操作の有無と有意に相関したが,発症後3日以内の欠食措置で軽快した.予後は,異時性多発胃癌の発生を1例認めた.本術式は患者負担を軽減し,全層切除による正確な病理診断も可能な優れた術式である.この長所を活かしたEMRとの使い分けが必要と考えられる.
  • 唐崎 秀則, 稲田 高男, 宮田 博志, 石原 雅巳, 富川 盛啓, 尾澤 巌, 菱沼 正一, 清水 秀昭, 固武 健二郎
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2374-2380
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    高齢者胃癌治療では,根治性の追求とともに合併症や早期他病死を避けるための侵襲の軽減が求められる.今回われわれは治癒切除術が施行された80歳以上の高齢者胃癌49症例を対象として術後予後因子の検討を行った.手術後5年以内の死亡は原病死6例,他病死10例の計16例であった.原病死例では,癌進行度と胃切除範囲が有意な予後要因であったが,リンパ節郭清度の影響は認められなかった.他病死例においては,進行度と術後合併症の有無が有意であり,術後合併症の発症は術中出血量との相関が認められたが,術前諸因子から術後合併症の発症を予測することは困難と考えられた.以上より,進行度が原病死,他病死の双方に影響を有する一方で,リンパ節郭清度の影響は認められず,術中出血量が術後合併症の発症に影響を与えていることから,高齢者胃癌外科治療では必要最小限の切除が望ましいものと考えられた.
  • 鷲田 昌信, 西平 友彦, 石井 隆道, 金子 猛, 岩井 輝, 井上 章
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2381-2385
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    局所麻酔下ヘルニア手術において,長時間作動型のbupivacaine併用の混合麻酔剤が一般に使用されているが,心毒性が知られているbupivacaineを用いず, 0.5% lidocaine単独使用でPROLENE Hernia System ® (PHS)修復手術が遂行できるか検討した.対象は2000年6月より10ヵ月の初回手術成人52例(両側2例を含む内鼠径10例,外鼠径38例,内外鼠径2例,大腿ヘルニア2例,男性48例,女性4例)で,年齢は35~83歳,平均61.3歳だった. Step-by-step法に従いPHS修復術を施行した. 50例で局所麻酔下に手術を遂行できた.局麻剤の使用量は16~69mlで平均40.7mlであった. 66歳以上では平均36.9mlであった.麻酔を含めた手術時間は47~113分で平均67.5分であった.麻酔に関わる重大な副作用は認めなかった.本法は,混合麻酔剤併用法と同様に施行可能であり,麻酔リスクの高い高齢者においても簡便かつ安全に適用しうることより, PHSヘルニア修復術における局所麻酔の導入に寄与できるものと考えられた.
  • 鈴木 雅行, 橋本 正人, 山口 晃司, 伊藤 清高, 前山 義博, 本間 浩樹
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2386-2389
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.主訴は左乳房腫瘤.左乳癌の診断で胸筋温存乳房切断術(Bt+Ax+Ic)を施行した.病期はt3 n1 βm0 stage IIIであった.またER, PgRともに陽性であった. 38歳時より肝炎(C型), 63歳時より糖尿病性腎症を原因とする腎不全にて透析加療中である. 40歳時に両側乳房腫瘤を自覚,近医にて右側乳房腫瘤を切除し女性化乳房症と診断された.左側乳房腫瘤は比較的小さく同様のものと診断されその後放置した.今回腫瘤の増大を主訴に来院し乳癌の診断となる.切除後の病理にて非癌部の乳腺組織は女性化乳房症の所見であり,臨床経過と組織所見より女性化乳房症に合併した男性乳癌と診断した.高齢者女性化乳房症に対して精査と厳重な経過観察が必要と考えられた.
  • 館花 明彦, 宇井 義典, 酒井 滋, 山川 達郎, 水口 國雄, 福間 英祐
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2390-2394
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,女性.主訴は下腹部腫瘤. 48歳時,左乳癌に対して定型的乳房切断術が施行された(T2, N0, M0充実腺管癌). 59歳時に発症した肝,骨転移に対し,化学療法の著効(CR)を認めた.平成13年8月(64歳)腫瘍マーカーの上昇より乳癌再発を疑い,精査を開始した.また同時期に下腹部腫瘤を触知,本人も自覚した.各種画像検査にて両側卵巣腫瘤像を認め,他臓器には腫瘍所見はみられなかった.転移性卵巣腫瘍と判断し,消化器症状の発現・増悪もあり手術となった.灰白色・多房性の卵巣腫瘍を切除,病理学的に充実腺管癌の所見を呈し,乳癌卵巣転移と診断された.乳癌術後16年目の卵巣転移は稀であるが,予後は極めて不良と考えられる.しかし内分泌・化学療法の奏効する例の多い乳癌では,集学的治療により長期延命が期待できる可能性があり,症例によっては積極的な治療を検討することも重要と考えられる.
  • 佐藤 博子, 大江 大, 酒井 信光
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2395-2398
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    われわれは外傷性心タンポナーデの持続性出血に対して,経皮的フィブリン糊注入療法を用い救命しえた1症例を経験した.症例は53歳,男性.乗用車運転中,ブロック塀に衝突し受傷した.来院時,ショック状態で,急速輸液,昇圧剤投与にも反応がなく, CTにて心タンポナーデを認めた.直ちに心嚢穿刺を施行し,カテーテルを心嚢内に留置したところ循環動態は落ち着いた.しかし,カテーテルから少量の出血が持続したため,心嚢内フィブリン糊注入療法を施行した.その後,心嚢内出血は認めず,内圧などの変化もなく,受傷後第2病日にカテーテルを抜去し,第20病日に退院した.外来観察中だが,特に問題は認められていない.心嚢内フィブリン糊注入療法については,急性心筋梗塞後の亜急性型心破裂(心タンポナーデ型)に対して有効例が多数報告されている.しかし外傷性心タンポナーデに応用した症例はない.本法は有効な治療法の1つと考えられた.
  • 松倉 規, 元石 充, 古川 幸穂, 岡崎 強, 桑原 正喜, 松原 義人
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2399-2401
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    気管腕頭動脈瘻は気管切開後のきわめて重篤な合併症である.今回,気管切開後42日目に気管腕頭動脈瘻を発症した症例を経験した.症例は62歳の男性で既往歴に結核性膿胸による右肺摘除,胸郭成形術をうけたことがあり,胸郭変形がみとめられた.外来受診時に意識消失発作から心肺停止をきたした.蘇生を行ったが低酸素脳症による意識障害が遷延し気管切開を行った.気管切開後42日目に体位変換時に気道出血がみられ,出血源を確認するために気管チューブを抜去したところ気切孔より血液の噴出がみられ,ただちに経口挿管しカフを過膨張させることにより止血した.翌日には制御不能の再出血をきたし窒息状態で死亡した.剖検により気管腕頭動脈瘻を確認した.本症例は胸郭変形により気管前壁と腕頭動脈が接しており気管腕頭動脈瘻の危険因子を有していたものと考えられた.このような症例では本症を念頭に置き発症を予防することが必要と考えられた.
  • 太田 茂安, 鈴木 昌八, 鈴木 一也, 稲葉 圭介, 横井 佳博, 中村 達
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2402-2405
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌に対するマイクロ波凝固療法(MCT)後に発生した気管支胆管瘻に対し,気管支鏡下処置により瘻孔閉鎖が得られた症例を経験したので報告する.症例は64歳の男性. 1990年に肝細胞癌に対し開胸開腹術による切除を受けた. 2001年3月21日,肝細胞癌(S6, S7)に対して開腹下MCTを施行した.術後23日目に肝膿瘍,横隔膜下膿瘍を発生し経皮的ドレナージを行った.瘻孔造影検査で胆汁瘻,気管支胆管瘻が確認されたが,肝膿瘍,胆汁瘻はドレナージおよび洗浄により消失した.しかし,気管支瘻が残存したため気管支鏡下に瘻孔内ブラッシングとフィブリン糊注入を行い, 8月27日に瘻孔は閉鎖された.全経過5カ月を要したが,退院後8カ月の現在肝細胞癌および気管支胆管瘻の再発はみられない.横隔膜直下の肝膿瘍に対するMCTは,開胸術の既往がある症例では術後の気管支瘻発生の危険性に留意する必要がある.
  • 栗栖 純穂, 安藤 幸二, 平 泰彦, 山村 卓也, 高桑 俊文, 長田 博昭
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2406-2409
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は40歳,男性.検診にて胸壁腫瘍を指摘され手術目的で入院となった. MRI所見より長径約2cmの神経鞘腫と術前診断し3mmの細径胸腔鏡下に腫瘍摘出を行った.術後病理診断はAntoni A型とB型が混在する胸壁神経鞘腫であった.胸壁発生の神経鞘腫は比較的稀な疾患である.良悪性の術前診断は困難であり,いずれにしても外科的摘出が唯一の治療法である.本例のように腫瘍径が小さい症例は,低侵襲下の診断および治療が同時に行える胸腔鏡下手術が良い適応となる.今回われわれは, 3mmの胸腔鏡と3mmの鉗子を用いた細径胸腔鏡下手術を行った.細径器具には操作上の不利が指摘されているが,術中操作に全く不具合はなく,容易に腫瘍を摘出しえた.今後胸腔鏡下手術はますます増加するであろうが,症例毎に可能な限り細径器具を用いて手術の低侵襲化を意識することが必要であると考える.
  • 沖田 理貴, 中田 昌男, 佐伯 英行, 栗田 啓, 高嶋 成光
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2410-2413
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    近年両側腫瘍性肺病変が発見される機会が増加している.このような症例に対しわれわれはこれまでに一期的両側胸腔鏡手術を9例に施行した.対象疾患は原発性多発肺癌7例,両側転移性肺腫瘍2例で術式は一側の肺葉切除と他側の区域切除1例,一側の肺葉切除と他側の部分切除3例,両側の区域切除または部分切除5例であった.平均手術時間は214.0±99.6分,平均術後在院期間は11.9±5.2日であり,特に合併症は認められなかった. 3例において術前後の呼吸機能を測定し,努力性肺活量, 1秒量はそれぞれ術後1カ月で術前値の78.1±2.6%, 79.9±3.7%,術後3カ月で85.7±6.2%, 88.8±5.0%であった.本術式は術後早期の疼痛が軽く,呼吸機能の温存にも優れており,両側肺切除術における有用な術式であると思われた.
  • 櫻庭 幹, 池田 豊秀, 前 昌宏, 村杉 雅秀, 小山 邦広, 足立 孝, 大貫 恭正
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2414-2417
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胸腺癌は悪性で進行症例が多い.これらの症例に対しinduction chemotherapyとしてPAC療法(CDDP, ADM, CPA)を行い完全切除しえた4症例を経験した.症例は, 27~69歳.全て男性であった.病期は正岡III期3例, IVb期1例であった. 3症例にPAC療法を1コース, 1症例に2コース行った.副作用は中等度で大きな合併症は認められなかった.評価は全例MR (minor response)であった.全例拡大胸腺全摘と浸潤臓器(上大静脈,左腕頭静脈,大動脈弓部,心嚢,肺など)の合併切除を行い完全切除となった.術後放射線療法を追加し, 1症例は23カ月無再発生存, 2症例は担癌で13カ月, 8カ月生存している.術前PAC療法は完全切除を可能にしたことから比較的有効であったと考えられる.
  • 小原 啓, 山本 康弘, 小林 達男, 河野 透, 葛西 眞一, 佐藤 昌明
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2418-2422
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,女性.人間ドックで内視鏡検査を行い,下部食道に粘膜下腫瘍を指摘され,精査のため当院に入院した.食道バリウム検査で下部食道に長径35mm大の陰影欠損を認め,超音波内視鏡では食道を亜全周性に取り囲む低エコー像がみられた. CTでは内部均一な低吸収域を認めた.下部食道粘膜下腫瘍の診断で,手術を施行した.開腹し下部食道を剥離牽引すると,食道をらせん状亜全周性に取り囲む腫瘍を認め,周囲との境界が明瞭なため核出術を行った.病理学的診断は平滑筋腫であつた.術後造影検査で食道の狭窄,変形,逆流を認めず,経過は良好であった.
    らせん状亜全周性の形態を示した下部食道平滑筋腫の1例を経験した.手術に際し,下部食道で良性疾患の可能性が強い場合,食道胃接合部の機能温存の立場から核出術が望ましいと考えられた.
  • 竹下 洋基, 松崎 正明, 神谷 勲, 赤座 薫, 禰宜田 政隆, 徳永 裕
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2423-2427
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は66歳の男性.タール便,上腹部痛を主訴に内科受診し,精査の結果,胸部中下部食道の低分化癌と,胃体中部の早期低分化腺癌の二重癌と診断された.術前化学療法として, 5-FUと低用量CDDPを2週間施行したがNCと判定,続いて食道・胃亜全摘・結腸再建術を施行した.病理組織所見では,食道は小細胞癌, pT2N0,胃は中分化型腺癌, SM, N0であった.術後縫合不全を認めたが保存的に軽快し,第48病日に退院した.術後さらに同様の化学療法を行ったが,縦隔リンパ節の急激な再発腫張に伴い,呼吸困難・肺炎を生じたため,再入院し,カルボプラチン・エトポシドによる化学療法を追加するも,全身状態悪化し,術後約6カ月で死亡した.食道原発の小細胞癌は,頻度としてはかなり稀であるが,その予後は不良とされ,定型的な治療法はいまだ確立していない.種々の治療法を組み合わせた集学的治療の発展が期待される.
  • 成田 洋, 伊藤 誠, 中村 善則, 福井 拓治, 加藤 克己, 中村 明茂, 宇佐見 詞津夫
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2428-2432
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Seglnental arterial mediolysis (SAM)は成人の腹部内臓動脈を中心とする筋性動脈壁の平滑筋がフィブリンや肉芽組織に置換され,中膜は菲薄化し動脈解離や瘤破裂などの原因となる稀な病態である.最近われわれは慢性関節リュウマチの既往のある, 55歳,女性に発生したSAMの1例を経験したので報告する.主訴は腹痛である.腹部CT検査で腹腔内出血と横行結腸間膜に沿って広範囲にひろがる血腫像を認め,また腹部血管造影で右胃大網動脈起始部に一致してextravasationと思われる造影剤の溜まりを認めた.右胃大網動脈ないしはその周辺動脈の破綻による出血と考え開腹術を行った.術中所見より右胃大網動脈瘤破裂と診断,瘤切除を行った.摘出標本の病理組織所見よりSAMによる動脈瘤破裂と最終診断された. SAMは,今後急性腹症の鑑別に際し念頭に置くべき疾患の1つである.
  • 平良 勝己, 大嶺 靖, 下地 克正, 知花 朝美, 屋良 勲
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2433-2437
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    術前診断しえた十二指腸乳頭部カルチノイドの1例を経験したので報告する.症例は30歳,男性.検診で十二指腸乳頭部に腫瘤性病変を指摘され当院を受診.上部消化管造影および内視鏡で十二指腸乳頭部に15mm大の粘膜下腫瘍を認めた.直視鏡による生検では粘膜表面しか採取できず確定診断には至らなかったが, ERCP施行時に行った側視鏡による生検でカルチノイド腫瘍の診断が得られたため,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.患者は術後1年8カ月現在再発の兆候なく外来経過観察中である.腫瘍径1cm未満の十二指腸乳頭部カルチノイドの治療方針については,諸家により意見の分かれるところであるが,本邦報告73例の検討より腫瘍径1cm未満でも深部浸潤している症例もみられることより,局所切除では不十分であり通常の癌腫に準じたリンパ節郭清を含む根治的切除術を施行すべきであると思われた.
  • 杉本 昌之, 長谷川 洋, 小木曽 清二, 坂本 英至, 伊神 剛, 森 俊治
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2438-2442
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    右胃大網動脈(RGEA)を使用した冠状動脈バイパス手術後に発症した胃癌に対し幽門側胃切除を施行した症例を経験した.症例は69歳,男性.平成11年3月,狭心症に対し,当院心臓外科にて左内胸動脈,右胃大網動脈,大伏在静脈をグラフトに用いCABGを施行した.平成12年9月,検診時に上部消化管内視鏡にて胃前庭部にIIc病変の存在を指摘された.深達度SMの早期胃癌と術前診断し, 12月19日に幽門側胃切除を施行. No, 1, 3, 4sb, 5, 7, 8, 9リンパ節を郭清, Billroth II法で再建した. No 4d, 6を郭清対象としないことで, RGEAグラフトを温存しえた.進行癌症例で根治性を期すためこれらの郭清を行うならば,場合によっては再CABGも必要とされる.
  • 三浦 昭順, 谷 雅夫, 河野 辰幸, 岩井 武尚, 竹下 公矢
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2443-2448
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,男性.平成7年3月に多発性骨髄腫IgG (λ型)の診断にて当院内科で化学療法施行後,寛解になり経過観察されていた.定期的に胃内視鏡検査を施行されていたが,悪性所見は認めなかった.平成12年3月24日の胃体上部大彎の生検にてGroup V (sig)と診断され手術目的にて入院となった.超音波内視鏡検査や画像検査より多発早期胃癌T1P0 H0 M0 N0 Stage I Aの診断にて胃全摘術(D1+7, 8a, 9, 11 郭清),空腸パウチ間置術を施行した.摘出標本では小彎の短縮と穹窿部の縮小ならびに胃壁全体の肥厚と変形を認めた.病理組織所見では胃全体にわたりtub 2を主体とし-部Sig, papが混在する癌を認めたが,形質細胞腫の浸潤を認めず,多発胃癌の診断となった,深達度はほとんどがmであった.経過ならびに病理組織所見から,多中心性に胃癌が発生し癒合したことが示唆され,化学療法により形質細胞腫が治癒しその際の炎症の波及が癌発生の背景にあったと考えられた.
  • 平栗 学, 小池 祥一郎, 窪田 晃治, 中川 幹, 清水 忠博, 岩浅 武彦, 中澤 功
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2449-2452
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は63歳の女性.腹部膨満感を主訴に当院を受診した.上部消化管内視鏡検査で噴門下部に胃癌を発見された.腹部CT・MRI検査上,空腸間膜根部の脂肪織内に腫瘤を認め,内部に腸間膜の血管が走行していた.胃癌に対し,胃全摘術, Roux-Y法再建を施行した.空腸間膜は厚く,黄白色調に変化し,巨大な腫瘤を形成しており,一部生検を行った.腸間膜の病変は異型細胞を認めず,腸間膜脂肪織炎と診断した.術後第19病日に突然腹痛を訴え,腹部超音波検査・CT検査にて輸入脚閉塞症と判断し緊急手術を施行した.
    輸入脚閉塞症・腸間膜脂肪織炎は共に比較的稀な疾患であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 上杉 尚正, 松井 則親, 西 健太郎, 守田 知明
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2453-2457
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    空腸潰瘍穿孔のため緊急手術を行った. Zollinger-Ellison症候群(以下, ZESと略記)の1例を経験した.症例は42歳の男性.以前より胃潰瘍の既往があり内服加療中であった. 1999年5月19日消化管穿孔のため緊急手術施行.多発性の空腸潰瘍穿孔を認め,空腸部分切除を行った.術後2日目に腹腔内出血,再穿孔を認め再手術施行.多発性の十二指腸潰瘍穿孔を認め, ZESを疑い膵頭十二指腸切除を施行した.術後の病理組織学検査で,悪性十二指腸粘膜下ガストリノーマの診断を得た.本邦におけるZESに起因する原発性空腸潰瘍穿孔の報告はなく,稀な症例である.
  • 白石 好, 磯部 潔, 森 俊治, 中山 隆盛, 西海 孝男, 古田 凱亮
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2458-2462
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    鈍的腹部外傷後の遅発性小腸狭窄に対して腹腔鏡補助下手術を施行した1例を経験した.症例は51歳,男性.交通事故で上腹部を打撲し救急搬送された.諸検査にて明らかな腹部臓器損傷を認めず,経過観察目的にて入院したが5日後に退院した.退院後徐々に腹痛,腹満感出現し頻回に嘔吐するようになり受傷10日後に再度受診し腸閉塞の診断にて入院となった.イレウス管挿入し保存的に様子を見たが造影にて狭窄の改善が見られなかったため外傷後遅発性小腸狭窄と診断し入院後28日目に腹腔鏡下手術を施行した.腸管の約3cmにわたる管状狭窄と近傍の腸間膜血腫を認めたため同部位を切除した.病理学的には腸管狭窄部にUL-IIの潰瘍と粘膜下層までの炎症性肉芽と線維化を認め,腸間膜には動脈の狭窄と萎縮を認めたため腸間膜損傷による虚血性小腸狭窄と診断した.外傷後遅発性小腸狭窄を疑った場合の診断,治療には腹腔鏡下手術が有用と考えられた.
  • 町田 宏, 水上 博喜, 坂本 信之, 櫻井 修, 幡谷 潔, 岡 壽士
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2463-2466
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,女性.複数の手術歴があった.腹痛を2週間放置していたが増悪したために当院紹介受診した.心窩部と左下腹部に圧痛,筋性防御を認め,腹部単純X線検査では腸間膜に線状の気体像を認めたが横隔膜下には遊離ガスやChilaiditi signは認められなかった.しかし,腹部CTにて腹腔内遊離ガス,および腸間膜と後腹膜に気腫が認められたため消化管穿孔の診断にて緊急手術を施行した.開腹所見では腹腔内遊離ガス,小腸全体に及ぶ壁の肥厚と癒着,ならびに腸間膜気腫を認めたが,消化管穿孔や膿瘍形成は認められず,手術所見より腸管嚢腫様気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis)と診断した.術後早期改善目的に高圧酸素療法を試み,施行3日後には気腫の消失が得られ,第22病日軽快退院した.術後9カ月再発は認められていない.
  • 山本 澄治, 清水 康廣, 杉山 悟, 宮出 喜生
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2467-2470
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は84歳,女性.約2カ月前より上腹部痛,つかえ感,嘔吐を訴え入院した.症状は一時軽快したため退院したが,再び腹部の激痛を訴えるようになり緊急再入院となった.入院時,強い腹痛がみられたが,腹部単純X線検査,血液検査にて特に異常所見はなかった.しかし腹部CT検査にてwhirl signを認め,小腸捻転と診断され,緊急開腹手術を施行した. Treitz靱帯より約60cm肛門側の空腸と横行結腸脾彎曲部の後腹膜にて術後癒着と思われるband形成があり,これが原因で腸間膜が上腸間膜動脈を中心にして捻転していた.捻転部には腫脹,壊死などの所見はなく, bandを切離し,この捻転を整復した.本症は,腹部症状・血液検査・腹部単純X線検査にて特徴的な所見がないため診断に苦慮することが多いが, CT検査が早期診断には有効であると考えられた.
  • 黒阪 慶幸, 新村 康二
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2471-2475
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は28歳,女性.発熱と右下腹部の疼痛を主訴に腹膜炎の診断で入院となる.虫垂炎を合併した腸回転異常症の診断で手術を行った.虫垂は正常であったが,回腸末端部より約20cm口側に膿瘍を伴うMeckel憩室炎を認め切除した. Meckel憩室は, 10×4×4cmと大きく,頂部に著しい壁の肥厚と膿瘍を伴い,組織学的には強い炎症所見とともに,異所性の胃幽門腺粘膜と膵組織を認めた.自験例の腸回転異常症は,小腸が腹腔内の右側に,結腸が左側に偏在するのが特徴であるnonrotation typeであった.胎生期において, Meckel憩室は卵黄管の退化過程の異常により,腸回転異常症は腸管が発育していく様々な段階で阻止されるために発生する.この二つの先天性疾患は,成人では偶然に発見されることが多く,無症状の場合はその診断に苦慮する.
    今回われわれは, Meckel憩室炎と成人腸回転異常症を合併した稀な1成人例を経験したので,文献的考察を加え報告した.
  • 間宮 俊太, 貝沼 修, 渡辺 良之, 中島 光一, 谷口 徹志, 原 壮
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2476-2479
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    出産後に腸重積を発症した虫垂粘液嚢腫の1例を経験したので報告する.症例は30歳,女性.34週にて経膣分娩後産褥経過は良好であったが,分娩後4日目に右下腹部痛が出現した.腹部単純レントゲン上niveau像は認めなかったが,腹部超音波・CT検査にて臍上部に嚢胞性病変とそれに連続する腸重積の所見を認め,精査目的で当科紹介となった.入院時,右腹部に圧痛があり,臍上部に弾性軟でやや可動性のある腫瘤を触知し,超音波検査にて同部にひょうたん型の嚢胞性病変と,それに連続するtarget-like-appearanceを認めた.腸重積を疑い手術を施行したところ,嚢胞状に腫大した虫垂が盲腸内に重積していた.切除標本において,虫垂内腔はゼリー状の粘液で満たされており虫垂粘液嚢腫と診断した.
  • 櫻井 俊孝, 金丸 幹郎, 山成 英夫, 森 洋一郎, 島山 俊夫, 千々岩 一男
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2480-2484
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は30歳,女性.主訴は腹痛,腹部膨満.既往症として精神運動遅滞,慢性便秘,また4年前にS状結腸軸捻転症のためS状結腸切除術をうけ,その際ヒルシュスプルング病を疑われたが確定診断には至っていない,来院時腹部は全体に膨隆し圧痛を認めるも腹膜刺激症状は認めなかった.血液検査値異常なく,腹部X線検査で上行結腸から横行結腸にかけてガスによる著明な拡張を,注腸造影検査で横行結腸脾彎曲部にbird beak signを認め,内視鏡検査にて同部に粘膜の捻れ狭窄が確認された.横行結腸軸捻転症と診断し緊急手術を施行した.横行結腸は著明に拡張し,脾彎曲部近傍で時計回りに360度捻転していた.捻転解除後の虚血性変化は軽く,また機能性腸疾患の合併が疑われた.横行結腸軸捻転症は稀な疾患であり,特に横行結腸と他部位結腸の異時性多発軸捻転症は極めて稀であり若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 大島 貴, 今田 敏夫, 池 秀之, 藤井 正一, 長嶺 弘太郎, 野澤 昭典
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2485-2488
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    大腸癌と術前診断した大腸結核の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は61歳,男性.腹部膨満感を主訴に受診した.注腸所見で上行結腸に砂時計型の狭窄像を認めた.いわゆるアップルコアとは異なる所見であったが,これを大腸癌と診断した. CTおよび内視鏡検査でも大腸癌を否定しえず手術を施行した.術中所見ではリンパ節腫大が認められたが,病変は柔らかく,炎症性疾患が疑われた.しかし悪性を否定できず結腸右半切除術を施行した.摘出標本の肉眼所見では潰瘍瘢痕を伴う粘膜瘢痕萎縮帯を認め,病理組織学的所見では粘膜下層およびリンパ節に巨細胞を伴う肉芽腫が多数認められた.結核菌染色およびZiehl-Nielsen染色は陰性であったが,肉眼および病理組織の特徴的所見より腸結核と診断した.近年原発性腸結核が腸結核報告例の半数以上を占めていることから,原発性腸結核の存在を念頭においた診療が必要であると考えられた.
  • 石川 慶大, 鈴木 康弘, 高橋 基夫, 藤田 美悧, 近藤 哲, 加藤 紘之
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2489-2493
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,女性.内痔核にて手術施行.その後外来通院していた.肛門部痛あり来院,直腸診にて腫瘤を触知した.腹部CTにて直腸後壁に径4cm大の腫瘤影をみとめ,大腸内視鏡にて直腸Rb後壁に位置した粘膜下腫瘍と診断し,経仙骨的局所切除を施行した.腫瘍の大きさは3.7×3.0×2.8cmで,病理組織学的には免疫学的染色でCD34(+), c-kit(+), α-smooth muscle actin (SMA)(-), S-100(-)であった.以上より直腸gastrointestinal stromal tumor (GIST), uncommitted typeと診断された.核分裂像が高倍率10視野11個と高度のためhigh grade malignancyを示唆され,腹会陰式直腸切断術を施行した.切除直腸にGISTの残存は認められなかった.経過は良好で術後20病日に退院した.術後1年6カ月が経過するが現在再発の兆候は認められていない.
    直腸原発GISTは本邦報告例17例と稀である.治療法は外科的切除が第一となるが術後,局所再発を念頭に置いた厳重なfollow upが必要である.
  • 木村 雅美, 長谷川 格, 三浦 秀元, 西堀 重樹, 山田 能之, 平田 公一
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2494-2498
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腸重積を発症した虫垂粘液嚢胞腺癌の1例を経験した.症例は79歳の男性で,慢性腎不全のため透析施行中.旅行中透析を受けた病院で腹痛を訴えた.当院紹介入院となり,腹部CTでmultiple concentric ring sign,腹部超音波検査でtarget like appearanceを描出し回腸末端から上行結腸領域での腸重積症が疑われた.手術では,虫垂根部に弾性硬な腫瘤を触知し,これが先進部となった腸重積症と診断した.重積部を用手的に整復した後,虫垂腫瘍を確認したためD2リンパ節郭清を含む回盲部切除術を施行した.虫垂腫瘍は病理組織学的にはmucinous cystadenocarcinoma (se, ly0, v0, n (-))であった.虫垂原発の粘液嚢胞腺癌が先進部となり,成人腸重積症を発症した報告例としては本邦第4例目である.
  • 中田 岳成, 伊藤 勅子, 熊木 俊成, 青木 孝學, 春日 好雄
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2499-2504
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性. 1999年3月横行結腸癌に対して横行結腸切除(D2郭清)が施行された.病理組織学的に中分化腺癌, se, ly1, v0, n (-)であった. 2000年11月腹部CTで脾上極に径10mm大の低吸収域を認めた. 2001年4月脾腫瘍の増大と血清中CEA値の上昇を認めたため大腸癌孤立性脾転移と診断され, 2001年5月脾摘出術が行われた.病理組織学的に高分化腺癌で大腸癌の脾転移と診断された.術後CEA値は正常化したが,再手術3ヵ月後に肝両葉に多発転移を, 10ヵ月後に胸腔内転移を認めた.化学療法を施行しているが脾摘手術後14ヵ月経過した現在,坦癌生存中である.稀な大腸癌の孤立性脾転移の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
  • 早馬 聡, 鈴木 康弘, 狭間 一明, 高橋 基夫, 加藤 紘之
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2505-2508
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    S状結腸癌による大腸狭窄を誘因とし,肝性脳症を発症したsplenorenal shuntの1例を経験したので報告する.症例は66歳,女性. 10日前より傾眠傾向が出現し,脳神経外科を受診したが異常を認めず当院紹介となった.来院時,貧血・アンモニア高値を認め,治療目的に入院となった.精査にてtype IIのS状結腸癌および肝硬変に伴うsplenorenal shuntを認めた. 2月18日, S状結腸癌手術・肝生検を施行し,シャント形成部放置した.本症例は肝硬変症に伴うsplenorenal shuntが形成された病態にS状結腸癌による大腸狭窄,イレウス病態が加わり,一時期,肝性脳症を発症したものと考えられた.大腸切除後には肝性脳症は消失し, 2年後の現在その発症をみていない.
  • 笠島 浩行, 野田頭 達也, 藤田 正弘, 高屋 誠章, 森田 隆幸, 佐々木 睦男
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2509-2513
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,女性.肛門部痛で来院.肛門縁に腫瘍の下縁が露出しており,直腸指診で前壁に潰瘍を伴う隆起性病変を触知した.腹部CT上,肝転移や明らかなリンパ節腫大を認めなかった.直視下に腫瘍の生検を行い,悪性腫瘍(悪性黒色腫疑い)の診断を得たため腹会陰式直腸切断術を施行した.腫瘍は膣壁に浸潤しており,膣壁の一部を合併切除した.占拠部位はPRbで,肉眼的進行度はP0H0AiN2M(-), Stage IIIbであった.病理組織学的診断では,類円形の核を有する大小の異型細胞がびまん性に増殖しており,腫瘍細胞はHMB-45, S-100に陽性で低色素性の悪性黒色腫と診断された.術後化学療法行うも奏効せず,約1年後に永眠した.
  • 佐藤 晋, 田村 和彦, 清水 広久, 青木 達哉, 小柳 泰久
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2514-2518
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    多発肝細胞癌,多発肺転移,腹水貯留を伴った肝硬変症末期患者の交通外傷を経験したので報告する.損傷臓器は肝II型および脾IIIa型であった.救急搬送された初診患者であり,事故前の肝機能の評価が困難であった.大量の腹水貯留があり,腹腔内出血の量と速度を把握できなかった.止血凝固障害,門脈圧亢進,腹水による血餅生成の阻害等により肝硬変症患者の自然止血は困難と判断.また血管造影エキスパート不在であり,消化管穿孔も否定できず緊急開腹止血術を施行した.手術による止血制御は可能であったが,インフォメーションドレーンからの大量腹水漏出を契機に全身状態が悪化.多発肝細胞癌の終末状態に陥り脳症を併発,食事を誤嚥し急性呼吸不全により術後30日で死亡した.肝硬変症末期の腹部鈍的外傷に対する報告は少なく,救急時の対応として事前に検討しておく必要があると考えられた.
  • 種田 靖久, 大谷 泰雄, 飛田 浩輔, 田島 知郎, 幕内 博康
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2519-2524
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.下腹部痛を主訴に近医を受診し,腹部超音波検査で肝内に腫瘤を指摘され精査加療目的に当科入院した.腹部CT検査および超音波検査で肝S3, S7/8領域に約30mm, 50mm大腫瘤を認め,さらに諸検査の結果,胆管細胞癌を疑い肝S7/8切除, S3部分切除術を施行した.病理組織学的所見はB cell type, non-Hodgkin lymphoma (以下, NHL)で,肝以外に病変を認めないことより肝原発悪性リンパ腫と診断した.術後11カ月目に腹腔動脈リンパ節と左腎に再発を認め, CHOP療法を計8クール施行した.腫瘍は著明に縮小し,術後2年6カ月現在,左腎以外に病変を認めていない.肝原発悪性リンパ腫は極めて稀な疾患であり,切除までしえた例は本邦で自験例を含め18例のみであった.肝限局例では可能な限り外科的切除を第1選択とし,術後に補助化学療法を行うことが最良であると思われた.
  • 赤堀 宇広, 大山 孝雄, 安川 十郎, 吉川 高志
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2525-2528
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    総胆管コレステローシスは非常に稀で術前診断が困難な疾患である.われわれは術前胆嚢・総胆管結石と診断され,術中胆道ファイバーにて総胆管ポリープ,病理組織診断にてポリープ型コレステローシスと診断された1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告した.症例は48歳,女性.嘔気,心窩部痛を主訴に当院内科受診.軽度の肝機能異常を認め,腹部超音波検査にて胆嚢結石, ERCPにて膵胆管合流異常症,胆嚢管低位合流,胆嚢総胆管結石と診断され,手術目的に当科紹介となった.手術は,胆嚢摘出術,総胆管切開術を施行した.総胆管内に結石を認めず,下部胆管に多数の黄白色のポリープ様病変を認めた.総胆管コレステローシスは,ほとんどが下部胆管の腫瘍性病変と診断され手術を施行されるが,病的意義は少ないとされており,胆道鏡での確診が容易なため,今後経内視鏡的胆道ファイバーの普及により,不要な手術を避けられるものと考えられた.
  • 五十嵐 章, 伊藤 孝
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2529-2532
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    特発性内胆汁瘻の中でも稀な胆嚢胃瘻を経験したので報告する.症例は, 68歳,女性で嘔気を主訴に近医を受診し,内服薬にて加療されていた.その後,右季肋部に圧痛をきたすようになったため当院紹介となった.腹部造影CT検査にて胆嚢の腫大と胆石を認めたため胆石症による胆嚢炎の診断にて入院の上,保存的加療を開始した.胃内視鏡検査を施行したところ前庭部の前壁に比較的境界明瞭で中心部に浅い陥凹を伴った隆起性病変を認め,浅い陥凹部から白色の膿様の流出がみられた.内視鏡検査に加え, MRI, MRCP, ERCP,胃十二指腸造影検査にて胆石症および胆嚢炎を伴う胆嚢胃瘻と診断し,手術を施行した.手術所見では,胆嚢は強固に胃前庭部に癒着し胆嚢と胃との瘻孔を認めた.胆嚢摘出,瘻孔閉鎖を施行した.術後は経過順調であった.
  • 須藤 隆一郎, 永吉 茂樹, 倉田 悟, 中安 清, 亀井 敏昭, 江里 健輔
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2533-2536
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,男性.主訴は黄疸.日本酒を1日4~5合,約35年の飲酒歴があった.平成13年9月初旬に皮膚の黄染を指摘されたため禁酒にて様子をみていたが軽減せず, 10月17日近医を受診.血液検査にて閉塞性黄疸の診断を受け当院内科紹介入院となった. CTにて膵頭部に4cm大の嚢胞を1個,体尾部にも1個の小嚢胞を認めた. MRCPおよびERPにて総胆管は,膵頭部の嚢胞に圧排される形で閉塞しており,膵管は頭側へ圧排され且つ軽度に拡張していた.以上より慢性膵炎による仮性膵嚢胞とその圧迫による総胆管閉塞と診断し,嚢胞空腸吻合および胆管空腸吻合を施行した.術後は経過良好で第25病日退院となった.慢性膵炎に合併する閉塞性黄疸は,膵内胆管周囲の浮腫や線維化によって生じ,仮性膵嚢胞による総胆管閉塞によるものは稀で,本邦で8例の報告があるにすぎなかった.
  • 町田 彰男, 村上 雅彦, 牧田 英俊, 山崎 智巳, 荒瀬 勉, 草野 満夫
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2537-2542
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は42歳,男性.心窩部痛を主訴に来院.上部消化管内視鏡検査で十二指腸潰瘍,腹部超音波検査で脾臓に直径1.2cmのhypoechoic massを認めた.脾臓腫瘤に対し精査したところ, CTで脾臓下極に直径1cmのlow density area, MRIではT1強調でiso intensity, T2強調で不均-なlow intensity, Gd造影ではdelayed enhancementされるmassがみられたが,悪性を強く示唆する所見が認められず経過観察とした. 2年3カ月後massは約2.5cm径に増大したため手術目的にて入院.腹腔鏡下脾臓摘出術を行い,病理結果は炎症性偽腫瘍であった.脾腫瘍の確定診断には病理学的検索が必要となることが多く,腹腔鏡下脾臓摘出術は診断・治療の両面からみても有用な手段と思われた.
  • 石川 泰, 京極 高久, 高峰 義和, 林 雅造
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2543-2546
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    稀な子宮広間膜異常裂孔ヘルニアの1例を経験し, MRI検査にて貴重な所見を認めた.症例は51歳,女性.主訴は上腹部痛,開腹歴なし.夜間睡眠中突然上腹部痛と嘔吐が出現し本院を受診.腹部は平坦軟で,腹部単純写真,超音波・CT検査ではイレウス像は認めず, MRI検査にて子宮が右側へ偏位し,子宮の左側にうっ血した血管を伴う小腸腸間膜と索状影を認め,子宮広間膜ヘルニアまたはS状結腸間膜ヘルニアなどの骨盤腔内の内ヘルニアを疑った.イレウスの所見に乏しく保存的に加療したところ,翌日になっても腹痛は軽減せず,画像診断にてイレウス像が出現, CT検査では子宮左側に索状構造と肥厚した腸係蹄を認めた.絞扼性イレウスと診断し,緊急手術を行った.開腹にて,左子宮広間膜に直径3cmの裂孔を認め,そこに回腸末端から1mの部位の小腸が約10cm嵌頓していた.嵌頓を整復し,異常裂孔を縫合閉鎖した.
  • 越湖 進, 稲葉 雅史, 内田 恒, 斉藤 幸裕
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2547-2551
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例1は78歳,女性.下腹部痛を主訴に当院内科を受診した.精査にてS状結腸憩室炎によるS状結腸膀胱瘻と診断,炎症所見の消退を待機し, S状結腸切除および膀胱部分切除を施行した.症例2は75歳,男性.急性汎発性腹膜炎による緊急手術症例.術前の尿所見で糞尿を呈し術中膀胱鏡を施行したが瘻孔部位は不明であり,また術中大腸内視鏡ではS状結腸の狭窄が高度で観察が不可能であった.術中所見でS状結腸が蜂窩織炎状に手拳大に腫大し他に大腸憩室を多数認めたことより, S状結腸憩室炎による膀胱瘻と診断,下行結腸に単孔式人工肛門および膀胱瘻を造設した.しかし術中のS状結腸粘膜生検で腺癌と診断されたため,初回手術より8日後にS状結腸切除術を施行した.膀胱瘻孔部は不明であったが,硬い索状の癒着が認められ,この部分の切除を行った.後者のごとく緊急手術症例では膀胱瘻の原因を同定することが困難で,術式決定のうえでの問題点と思われた.
  • 高木 眞人, 佐藤 茂樹, 蓮江 健一郎, 久保内 健生, 片場 嘉明, 小柳 泰久
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2552-2557
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は33歳,男性.腹痛,下痢,吃逆および腹部膨満にて受診した.体温37.9°C, 腹部は著明に膨満しているものの,腹膜刺激症状は認められず,腹部単純レントゲン,腹部CTにてイレウスと診断した.イレウスチューブを挿入し,保存的に経過をみるもイレウス症状は改善せず,手術を施行した.腹膜,胃,小腸漿膜,大網には黄白色の播種状粟粒結節があり,癌の腹膜播種を疑うも術中細胞診にて癌細胞は認めず,多数の類上皮性細胞を認めた.術中下部消化管内視鏡では盲腸びらんと終末回腸の全周性潰瘍を認め,回盲部原発の活動性腸結核,結核性腹膜炎による腸閉塞と術中診断した.強度の癒着のため剥離,腸切除は行わず手術終了とした.粟粒結節は乾酪壊死を伴った類上皮性肉芽腫であり結核症と確定診断された. RFPとINHの経管投与およびSM筋注による結核治療にて症状は著明に改善し, 6カ月の治療終了後も再発の徴候はない.
  • 柴田 康行, 桑原 義之, 篠田 憲幸, 佐藤 篤司, 木村 昌弘, 藤井 義敬
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2558-2563
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    デスモイド腫瘍は組織学的には核分裂像に乏しく,良性腫瘍と判断されるが,臨床的には浸潤性発育や局所再発を示し,良・悪性の境界に位置づけられる線維腫症の一種である.今回,腸間膜デスモイドの2例を経験したので,本邦報告例75例の検討を加えて報告する.また,腫瘍径の詳細が判明している65例において,腫瘍の体積を指標として,開腹手術歴の有無や性別,そして閉経年齢の50歳を境として二群に分け,それぞれ比較検討したところ,開腹手術歴の有無,性別では相関関係を認めなかったが, 50歳未満の女性群では腫瘍の体積が大きい傾向がみられた(p=0.059).このことはエストロゲンが腹腔内デスモイド腫瘍の発育に関与している可能性を示唆するものと思われた.
  • 矢野 佳子, 遠藤 和喜雄, 藤戸 努, 北條 茂幸, 山崎 恵司, 前浦 義市
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2564-2569
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,女性.右下腹部痛と腹部膨満感を主訴に近医受診し,右腹部腫瘤を指摘され,当科紹介入院となった.腹部CTにて腫瘍は右後腹膜腔にあり最大径11cmで,不均一な内部造影所見を呈しており,下大静脈を巻き込んでいた.経静脈的腎盂尿管造影では右尿管は右側方へ圧排偏位しており,右腎は軽度の水腎症を認めた.後腹膜腫瘍と診断し,手術を施行した.腫瘍は右後腹膜腔にあり,下大静脈壁の一部に浸潤を疑う強固な癒着を認め,合併切除を行った.肉眼的には, 11×9.5×6.5cm大の黄白色の被膜を有する腫瘍で,病理組織学的には悪性神経鞘腫であった.術後9カ月現在再発認めず,外来通院中である.後腹膜原発腫瘍に占める神経鞘腫は, 1.2~5.7%と少なく,悪性のものは予後不良とされている.その特徴について若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 長家 尚, 多賀 聡, 脇山 茂樹, 池部 正彦, 中西 浩三, 豊増 泰介
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2570-2574
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    悪性間葉腫は線維肉腫を除く, 2種類以上の肉腫成分から構成される稀な悪性腫瘍で,主として四肢や体幹に発生する.臨床上は未熟奇形腫や中胚葉性混合腫瘍との鑑別が重要である.今回,再発を繰り返した後腹膜悪性間葉腫の1例を経験したので報告する.症例は73歳,女性で,主訴は左季肋部痛,体重減少.腹部CTでは,左腎や腹部大動脈を圧排する12cm×8.5cmの不均一で一部に粗大石灰化を有する後腹膜腫瘍であった.手術では腫瘍は周囲臓器に浸潤なく一塊として容易に切除できた.病理組織学的検査により軟骨肉腫と平滑筋肉腫からなる悪性間葉腫と診断された.術後は2度の再発をきたし,いずれも発生部位が異なった.予後不良と考えられる.
  • 桐山 真典, 金井 道夫, 中村 從之, 濱口 桂, 山田 英貴, 矢野 孝
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2575-2579
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は41歳,女性.主訴は1ヵ月以上続く咳と疾.胸部X線検査で右肺野の透過性低下とガス像を認めた.胸腹部CT・消化管造影検査で十二指腸から上行結腸にかけて右胸腔内に脱出しており,腸回転異常を伴った右横隔膜ヘルニアと診断し開腹手術を行った.肝右葉は小さく,左方に偏位していた.ヘルニア門を右横隔膜の背外側に認める仮性ヘルニアであり,右Bochdalek孔ヘルニアと診断した.脱出腸管を還納整復し,パッチを用いてヘルニア門を縫合閉鎖した.術後,呼吸器症状は消失した.成人右側Bochdalek孔ヘルニア本邦報告例は自験例を含め8例で,肝の形態異常は6例に認めた.本疾患の腹部臓器異常合併は8例中4例と稀ではなく,まず開腹からのアプローチが妥当であると考えられる.
  • 山口 敏之, 安藤 豪隆, 秋田 真吾, 小松 信男, 橋本 晋一, 臼井 健二
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2580-2584
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は27歳,男性で右鼠径部の腫瘤を主訴に来院した.右鼠径靱帯尾側に鶏卵大の比較的柔らかいが,可動性に乏しい腫瘤が触知された. CT, MRIでは腸腰筋内に境界明瞭な多房性の嚢胞状腫瘤が描出され,良性の軟部腫瘍が疑われ手術を行った.腫瘍の大部分は被膜様の膜に覆われ,周囲筋肉や腱との剥離は容易であったが一部剥離困難な部があり,この部は周囲筋肉とともに摘出した.病理学的には筋肉内血管腫と診断された.術後経過は概ね良好であった.
  • 本田 勇二, 河野 哲夫, 田中 暢之, 江口 英雄
    2002 年 63 巻 10 号 p. 2585-2590
    発行日: 2002/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    34年間で異時性に4個の大腸癌と1個の小腸癌を重複した症例を経験したので報告する.症例は81歳,男性.家族歴に特記事項はなかった.昭和44年他院にて直腸癌の診断で直腸切断術を施行した.その後通院しておらず平成4年9月下血を主訴に来院, 11月9日横行結腸癌にて横行結腸切除術を施行した.術後テガフールの内服を18ヵ月間行った.その間平成5年9月28日に前立腺肥大症にて前立腺全摘術,平成6年5月19日に洞機能不全症候群にてペースメーカー埋め込み術を行った.このため他院での治療が主になり当院で大腸検査を行う事はできなかった.平成7年3月3日小腸イレウスにて空腸切除術施行した.病理組織学的診断は小腸癌であった.平成7年10月タール便を認め大腸内視鏡検査を行い3個の盲腸癌を認めたため, 11月6日回盲部切除術を施行した.初回手術より34年経過した現在再発なく外来通院している.
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