日本臨床外科学会雑誌
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4型胃癌に対し胃全摘後8年10カ月で局所再発をきたした1例
小坂 綾梨本 篤藪崎 裕
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2002 年 63 巻 12 号 p. 2953-2957

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抄録

4型胃癌根治術から8年10カ月後に局所再発したが,胃切除可能であった稀な吻合部再発癌症例を経験したので報告する.症例は73歳,男性で1991年11月20日,ほぼ全胃を占める16.0×11.0cmの4型進行胃癌に対し, D2リンパ節郭清を伴う胃全摘+脾摘術を施行した.組織型はpor 2で, SE, pN2 (25/72), ly2, v1, PM(-), DM(-)で,根治B手術であった.術後は順調に経過していたが, 2000年4月頃よりつかえ感,体重減少が出現した.精査にて吻合部癌と診断され, 9月20日両側肺部分切除+横隔膜切除を伴う吻合部切除術を施行した.組織型は同様にpor2でSI, ly(+), v(+), PM(-), DM(-)であった.病変は吻合部の粘膜下を主体として浸潤性に発育しており,原発腫瘍としての所見を欠いており,特殊染色にて組織学的に両者はほぼ同様の結果を示した.従って,臨床的には稀であるが吻合部再発胃癌と診断した.現在外来にて通院加療中である.

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