日本臨床外科学会雑誌
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胸腔鏡下に切除した縦隔duplication cystの1例
野路 武寛児嶋 哲文清水 鉄也北城 秀司飯村 泰昭加藤 紘之
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キーワード: 縦隔腫瘍, 胸腔鏡下手術
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2002 年 63 巻 7 号 p. 1662-1665

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抄録

胸腔鏡下に切除したduplication cystの1例を経験したので報告する.症例は54歳,女性.乾性咳嗽を主訴に当院内科を受診し, CT, MRI,超音波内視鏡にて食道筋層に接し,右肺静脈,右主気管支の間に存在する先天性縦隔嚢胞と診断された.先天性縦隔嚢胞の悪性化の報告は稀であるが,圧迫症状や,肺食道縦隔内への穿破をきたすことがあり,無症状でも手術適応とされている.このため胸腔鏡下に嚢胞摘出術を行った.嚢胞は術前診断どおり,食道壁に接し,右肺静脈,右主気管支,心膜に癒着していた.このような症例に対し小開胸併用VATS,通常開胸に移行するべきであるとの意見もあるが,本症例では吸引,凝固電極鉗子などを用いた鈍的剥離と電気メスにて安全に摘出しえた.嚢胞は病理組織学的検査にてduplication cystと診断された.術後8日目に退院し,術後7カ月目の検査にて再発を認めていない.

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