日本臨床外科学会雑誌
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成人にみられた原発性小腸軸捻転症の1例
清水 智治花澤 一芳吉岡 豊一岡 浩梶並 稔正谷 徹
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キーワード: 原発性小腸軸捻転症
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2002 年 63 巻 8 号 p. 1905-1909

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抄録

症例は29歳,男性.突然左側腹部痛が出現し救急搬入された.腹部所見では軽い腹膜刺激症状を認めた.腹部CT検査にて腸閉塞像とwhirl like patternを認め小腸軸捻転症と診断し緊急手術を施行した.腹腔鏡下に腹腔内の状態を観察した.腸管の壊死は認めずTreiz靱帯より肛門側約1.0mの部位で口径変化が観察された.腹腔鏡下での捻転整復は困難と判断されたため小開腹を行った.口径変化部より回腸末端までの腸管が反時計回りに約360°回転していた.捻転を解除すると腸管の色調も改善し手術を終了した.術後経過は良好であった.本症例では腹腔内に解剖学的な異常や奇形を認めず原発性小腸軸捻転症と診断した.本邦では原発性小腸軸捻転症は稀であり本症例を含めて40例が報告されている.腹部CTが本疾患の早期診断に有用であり,腹腔鏡使用により低侵襲な治療を行うことができる可能性が示唆された.

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