2003 年 64 巻 10 号 p. 2450-2453
胃過誤腫は比較的稀な疾患であるが,出血をきたすことはきわめて稀である.今回われわれは出血をきたした胃過誤腫の1例を経験したので報告する.
症例は41歳,男性. 2001年7月26日吐血にて近医を受診.胃内視鏡検査を施行され,胃体部後壁に出血性潰瘍を認め,内視鏡下にクリップによる止血術が施行された.当院へ転院したが再び出血をした. 1995年の胃内視鏡検査では,同部位に1.5cmの中心陥凹を伴う粘膜下腫瘍を認めていた.今回の出血は粘膜下腫瘍上の潰瘍よりの出血と診断し,完全な再出血予防のためには腫瘍の切除が不可欠と判断したので,胃部分切除術を施行した.病理組織は粘膜下組織浅層部に不規則な拡張を伴う幽門腺類似の腺管形成と平滑筋細胞の増生を認める, myoepithelial hamartomaであった.