Gastrointestinal stromal tumor (GIST)に対しImatinib Mesilate (STI571)の開発により,その有効性が認められているが,劇的な効果の裏に,様々な副作用出現で,投与中止,休薬せざるを得ない結果を招いていることも事実である.今回,胃原発GISTに対しSTI571投与し,外来にて経過観察中,胃穿孔性腹膜炎を併発した症例を経験したので報告する.症例72歳,女性.平成13年10月,胃原発の平滑筋肉腫の診断で手術施行.以後多発性肝転移,腹膜播種出現.免疫染色にて, c-kit (+)であることが判明.平成14年11月よりSTI571 (400mg/day)投与を開始した.投与後1カ月でPR以上の著明な縮小を見せ,外来経過観察中であったが,投与6カ月後,急激な腹痛を主訴に来院.胃穿孔性腹膜炎であった.同薬剤の開発は画期的な進歩であるが,顕著な治療効果のあまり副作用に関しての報告は少ない.これらの観点から貴重な症例と考え報告する.