日本臨床外科学会雑誌
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虫垂真性憩室炎の1例
浅野 之夫三田 三郎早川 英男森 直治前田 光信
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キーワード: 虫垂憩室, 真性憩室
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2004 年 65 巻 10 号 p. 2701-2704

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抄録

症例は43歳,男性.右下腹部痛を主訴に当院受診. CTでは,虫垂の軽度腫脹と虫垂周囲にair像を認めた.急性虫垂炎の虫垂間膜内への穿通,または虫垂憩室炎と診断し,同日手術施行した.術中所見では,虫垂周囲に膿性腹水を認め,虫垂は軽度腫脹していた.また,発赤,肥厚した虫垂間膜を認めた.虫垂切除術を施行し手術終了した.摘出標本では,虫垂の根部付近に糞石を認め,同部の虫垂間膜側に憩室を認めた.病理組織学的に虫垂憩室は固有筋層が保たれた真性憩室であった.憩室の一部に穿孔を認め,周囲には膿瘍が形成されており虫垂憩室炎と診断された.虫垂憩室症は比較的稀な疾患である.臨床上,穿孔率が高く,無症状で発見された場合の手術適応が問題となる.一旦穿孔し炎症が波及してしまうと重篤な合併症を併発することが多く,炎症の存在が疑われる場合はもちろんのこと,無症状例に対しても厳重な注意が必要であると思われた.

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