2005 年 66 巻 4 号 p. 853-856
続発性小腸軸捻転症の報告は稀で,その原因の大部分は腸回転異常症と癒着・索状物である.今回われわれは腸間膜嚢胞が誘発したと考えられた小腸軸捻転症の1例を経験したので報告する.症例は67歳,女性で腹痛を主訴に来院した.腹部全体に著明な圧痛と筋性防御を認めた. CTで上腸間膜動脈を中心にwhirl sign を,尾側に手拳大の嚢胞性腫瘤を認めた.症状増悪したため,小腸軸捻転症に伴う絞扼性腸閉塞と診断し,緊急手術を施行した.小腸が時計回りに捻転し,虚血性変化は認めなかった.捻転部の尾側に手拳大の腸間膜嚢胞を認め,これが捻転を誘発したものと考えられた.捻転解除・腸間膜嚢胞摘出し,腸切除は行わなかった.腫瘤は95×75mm大,単胞性の嚢胞で,病理組織検査で腸間膜嚢胞と診断された.術後8日目に退院し,術後9カ月現在再発を認めず健在である.