日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
術前に診断した空腸憩室に伴う小腸軸捻転症の1例
加藤 秀明薮野 太一宮永 太門渡邊 透山脇 優佐藤 博文
著者情報
キーワード: 空腸憩室, 小腸軸捻転
ジャーナル フリー

2005 年 66 巻 4 号 p. 857-860

詳細
抄録

症例は77歳,女性.患者は胆摘,臍部ヘルニア手術のあと近医で経過観察されていたが,腹痛を頻回に起こすようになり当院救急外来を受診した.腹部CT検査,小腸造影検査で第5腰椎付近の小腸に径3cmほどの憩室と小腸軸捻転症を認めた.入院後は腹痛発作は認めず,小腸憩室を伴った腸軸捻転症の診断で手術を行った.手術所見では,小腸は上腸間膜動・静脈を中心に反時計回りに捻転し,その軸の背側に小腸が嵌入していた.その嵌入した小腸を引き出すとTreiz靱帯から約50cmの空腸に径3cmほどの単発性憩室を認めた.手術は癒着剥離および小腸軸捻転解除,憩室楔状切除術を施行した.病理学的には憩室は真性憩室であった.術後経過は良好で第12病日に退院した.空腸憩室に伴う腸軸捻転症の症例は本邦で3例のみの報告がある稀な疾患であり,文献的考察を加えて報告した.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top