日本臨床外科学会雑誌
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胃原発T細胞性悪性リンパ腫の1例
松葉 芳郎岡 淳夫新見 健坂本 嗣郎
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2006 年 67 巻 1 号 p. 59-63

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抄録

患者は71歳,女性.老人検診の便潜血反応陽性のために開業医より精査目的で当院紹介.上部消化管内視鏡検査で胃下部後壁大彎寄りに胃癌取扱い規約肉眼型分類2型の病変あり.腫瘍生検で悪性リンパ腫の診断.遠隔転移,表在リンパ節腫大,肝脾腫,末梢血異常細胞の出現など,いずれも認めず.血清LDH, Caは正常.可溶性インターロイキン2受容体 (sIL-2R) は1,680U/MLと異常高値を示した. HTLV-1抗体は陽性.開腹胃全摘, 2群のリンパ節郭清, Roux-en Y吻合再建を施行した.病理組織診断でT細胞性胃悪性リンパ腫と診断された.術後, sIL-2Rも正常範囲になった.食欲も良好で体重も増加傾向となった.しかし,術後2年経過後にsIL-2Rの再上昇,腹腔内傍大動脈から骨盤内,さらに大腿部のリンパ節腫大をきたした.病状次第に悪化し術後2年6カ月で永眠された.

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