日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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67 巻 , 1 号
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  • 米山 公康, 大山 廉平
    2006 年 67 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Diabetic mastopathyはインスリン依存性糖尿病(IDDM)や長期間糖尿病に罹患している患者の乳腺に線維化を生じ,臨床的には乳癌との鑑別が困難な腫瘤を形成する疾患である.今回われわれはdiabetic mastopathyの12例について臨床病理学的に検討した.年齢は35~82歳.主訴は全例が乳腺腫瘤で,腫瘤径は1.5~6cm. 糖尿病の罹病期間は1~30年でNIDDMが7例, IDDMが5例であった.マンモグラフィでは境界不明瞭な高濃度陰影を認めた.超音波検査では辺縁不整,境界不明瞭,内部エコー不均一な腫瘤影として描出された.画像上は乳癌との鑑別を要した.最終診断は7例が切開生検によりなされていた.病理組織学的には乳管,小葉周囲および血管周囲のリンパ球浸潤と間質結合織の増生を認めた.確定診断のためには生検を必要とすることも多いが,本疾患を念頭において診療することにより不必要な手術は避けられる.
  • 川辺 高史, 中居 卓也, 竹山 宜典, 土師 誠二, 保田 知生, 城田 哲哉, 大柳 治正, 塩崎 均
    2006 年 67 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)困難症例において従来では開腹手術に移行することが行われてきたが,開腹移行には様々な欠点がある.そのため当科では2003年からLC困難症例に対してHALS移行を行っている.開腹移行した開腹移行群とHALS移行したHALS移行群と開腹胆摘を行った開腹胆摘群を比較すると手術時間,術後入院期間がHALS移行群で有意に短縮していた.またHALS移行群では術後合併症を全く認めなかった. HALS移行は術中の手術器具を変更することなく行え,開腹移行群より手術成績も良好であることからHALS移行は開腹移行に代わる術式であるといえる.
  • 山岸 純子, 石丸 由紀, 高安 肇, 大谷 祐之, 池田 均
    2006 年 67 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    目的:肥厚性幽門狭窄症に対する幽門筋切開術において臍部弧状切開(UI)の有用性を明らかにする目的で右上腹部横切開(TI)と後方視的に比較検討を行った.方法: TI施行19例とUI施行20例の両群で性別,出生時体重,手術時日齢,手術時体重,幽門筋厚,手術時間,術後経口確立までの日数,術後在院日数,術中または術後の合併症を比較した.結果: UIの手術時間65分(中央値)はTIの40分より有意に長かったが(p<0.001),合併症はTIに術後イレウス, UIに縫合糸膿瘍各1例を認めるのみであった.結論: UIでは手術の難度が高く慎重な操作を要するため手術時間が延長したが,確実な操作により合併症を避け得ることが示された.整容的な臍部弧状切開は幽門筋切開術において推奨されるべきアプローチ法である.
  • 寺下 幸夫, 全並 秀司, 幸 大輔, 杉浦 正彦
    2006 年 67 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,男性. 10年前に胃切除の既往があった.腹痛を主訴に来院され,癒着性イレウスの診断にて当院入院となった.保存的治療施行するも軽快せず,第11病日,開腹手術を施行した.回盲弁より130cmの小腸が腹壁の前回手術創に癒着し,狭窄しており,小腸部分切除を施行した.術後,脱水傾向を認め,十分な輸液を行ったが,術後3日目には無尿,ショック状態となった.また,術後2日目より右側腹部に紅斑が出現し,術後3日目には血疱を伴う紫斑が出現したため,壊死性筋膜炎に伴う多臓器不全と診断し,救命処置を施行したが,同日,患者は死亡した.その後,便,血疱よりAeromonas hydrophilaが検出された, Aeromonas hydrophilaは弱毒菌であるが,時に敗血症,壊死性筋膜炎を発症し,劇症化するとされている.文献的考察を加えて報告する.
  • 佐伯 隆人, 安岡 康夫, 吉田 敦
    2006 年 67 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,女性.検診で甲状腺腫瘍を指摘され精査目的で当院を受診した.超音波検査にて甲状腺右葉下極に径約10mm大で辺縁不整,境界不明瞭,内部不均一な低エコーを呈する充実性腫瘤を認めた.精査の結果,甲状腺癌と診断し甲状腺亜全摘術およびリンパ節郭清術を施行した.病理組織学的検査では,間質にアミロイド沈着を伴い充実性に増殖する髄様癌の組織に混在してコロイドを含んだ大小さまざまな瀘胞構造を認めた.さらに免疫組織化学的検査において,カルシトニン,サイログロプリンの両者が陽性であり混合性髄様・瀘胞細胞癌と診断した.混合性髄様・瀘胞細胞癌は本邦では10例が報告されている稀な甲状腺腫瘍であり,文献的考察を加えて報告した.
  • 中野 雅人, 小山 諭, 神林 智寿子, 鈴木 聡, 三科 武, 畠山 勝義
    2006 年 67 巻 1 号 p. 28-32
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は77歳の女性. 2002年夏より頸部腫瘤の増大を訴え,近医受診.精査にて甲状腺乳頭癌と診断された.当科での術前CT, MRIで甲状腺左葉に10×9.5×6.5cm大の腫瘍と左内頸静脈内に腫瘍塞栓を認めた.術中所見では5cm大の左内頸静脈内腫瘍塞栓を認め,甲状腺全摘術と左内頸静脈の合併切除を施行し,肉眼的には癌の遺残を認めなかった.
    甲状腺分化癌は一般的に予後良好な腫瘍であるが,局所浸潤をきたす症例は比較的予後不良であるとされる.内頸静脈浸潤を伴った甲状腺分化癌の外科的治療は,現在まで数症例でその有用性が報告されている.特に肉眼的に腫瘍を摘出しうることが重要であるとされる.
    本症例は肉眼的腫瘍の遺残なく,手術を施行し,術後TSH抑制療法にて経過観察中である.本人の希望により131I内照射療法は施行されていないが,術後現在まで28カ月間,再発を認めない.
  • 喜多 芳昭, 喜島 祐子, 吉中 平次, 舩迫 和, 大脇 哲洋, 愛甲 孝
    2006 年 67 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は, 48歳,女性.左乳房の腫瘤を主訴に来院した.マンモグラフィ,乳房超音波検査,穿刺吸引細胞診にて乳癌と診断された.検血にて,白血球が18,200/μl, 腫瘍マーカーのCA15-3が64.5U/ml, 血清G-CSF値は67pg/mlと高値を示していた.乳癌の存在と,白血球の増加,血清G-CSF値の上昇,明らかな感染巣がないことより, G-CSF産生腫瘍を疑い手術を施行した.白血球数は第1病日より低下し1週間後には正常に復した.血清G-CSF値は,10pg/ml未満まで低下した.術後は良好に経過し8病日に退院した.手術を契機に白血球数および血清G-CSFが正常化し,また,腫瘍細胞がG-CSF免疫組織染色にて染色されたことより, G-CSF産生乳癌と診断した.
  • 石井 辰明, 金 仁洙, 井谷 史嗣, 室 雅彦, 石川 隆, 浅海 信也
    2006 年 67 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,男性.左乳房腫瘤を主訴に来院.左乳頭直下に7cm大の可動性良好な境界明瞭な腫瘤を触知した.腋窩リンパ節は触知しなかった.腫瘤は超音波検査で単房性の嚢胞性病変として描出され,腹側に壁内腔に突出する丈の低い長径13mm大の乳頭状病変があり, MRI検査では造影効果を認めた.切除生検を施行し,病理組織学的検査にて嚢胞内非浸潤性乳管癌と診断された.乳管内進展による癌遺残が完全には否定できないため,腋窩は非郭清とし胸筋温存乳房切除術を施行し,術後1年目の現在,再発の兆候なく外来通院中である.
    男性の非浸潤性乳管癌の本邦報告例は自験例を含め9例に過ぎず極めて稀である.
  • 真田 克也, 柴田 稔, 長内 孝之, 杉原 健一
    2006 年 67 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は49歳,女性. 2週間前から左乳腺腫瘤を自覚し来院.左乳房C領域に2cm程の境界不明瞭な腫瘤を触知.マンモグラフィにてカテゴリー3, 乳房超音波検査では乳頭腺管癌を疑った.穿刺吸引細胞診でclassV乳頭腺管癌と診断.乳頭より22mm離れていたため,乳房温存手術を施行. Level IIIのリンパ節腫脹を触知したため, Level IIIまでリンパ節を郭清した.術後の病理診断では癌の拡がりは4×1.5cmでscirrhous+invasive micropapillary carcinoma (IMP), ly3, リンパ節転移3/16, 断端(-), ER(-), PR(-), HER2(1+) だった.術後AC 4クール, weekly paclitaxel 12クール施行後,放射線療法を残存乳腺および鎖骨上窩に施行した.
  • 花岡 孝臣, 佐藤 敏行, 金谷 洋
    2006 年 67 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    患者は50歳の女性.村の胸部CT検診で,左肺の異常陰影を指摘され精査となった.高分解能CTでは,左下葉S6領域肺野末梢部に葉間に接して,輪郭不鮮明,微細棘状,内部不均一で混合濃度,胸膜陥入のある最大径3cm大の腫瘤影を認めた.他に対側右上葉・中葉肺野末梢部に散在性小結節影と気管分岐部リンパ節の軽度腫大を認めたことから,病期診断目的でFDG-PET (positron emission tomographic scan using 2-fluoro [18F]-2-deoxy-d-glucose) を施行した.いずれにも強いFDG集積を認めず, CT上の腫瘤検出部位は, SUV (standardized uptake value) max 2.3 (delay 1.9) と極めて淡く,遅延像で集積が低下するパターンで,悪性腫瘍や肺門縦隔リンパ節転移や遠隔転移を疑う異常集積は指摘できなかった. CT所見から肺癌を強く疑い,手術(左下葉切除+ND2a) を施行した.最終病理診断は混合型腺癌, p-T1N0M0, p-stage IAであった.胸部CT検診発見肺癌の多数を占めるc-stage IA肺腺癌では, CT上3cmと大きく充実性陰影を示してもFDG-PETによる良悪識別において偽陰性を示す場合があり, PET診断の解釈には注意を要する.
  • 杉下 博基, 清地 秀典, 梶原 伸介, 岩川 和秀, 岡田 憲三, 坂尾 寿彦
    2006 年 67 巻 1 号 p. 50-54
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    肋骨原発の巨細胞腫は稀である,今回われわれは右第5肋骨より発生した巨細胞腫の1例を経験したので報告する.症例は48歳,女性. 46歳頃より時々,前胸部痛を認めていたが放置していた.徐々に痔痛が増悪し,右胸部に腫瘤を触知するようになったため当科を受診した.胸部CT, MRI検査で右前胸部に第5肋骨由来と考えられる径6cmの腫瘍を認めた.術中所見で腫瘍は最大径6cmで皮膜に包まれており,第5肋骨由来の腫瘍であった.肺への浸潤は認めなかったが第6肋骨への浸潤が疑われたため,第5, 6肋骨を合併切除した.本腫瘍は病理組織検査で巨細胞腫と診断された.本症例は完全切除されたと判断されたため,術後補助化学療法,放射線治療などは行っていない.術後2年経過した現在も無再発生存中である.
  • 山南 将志, 上島 康生, 李 哲柱, 栗岡 英明
    2006 年 67 巻 1 号 p. 55-58
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    軟骨肉腫のなかで肋骨を原発とするものは約2%と比較的稀である.今回われわれは右第5肋骨に発生した肋骨原発軟骨肉腫の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は64歳,女性.右乳房の腫瘤を主訴に来院したが,超音波検査で腫瘤は肋骨と連続性があり,細胞診にて軟骨肉腫と診断された.腫瘤を含む広範囲胸壁切除, Marlex meshによる胸壁再建を施行した.術後の病理検査ではGrade Iの軟骨肉腫と診断した.術後16カ月現在,再発の兆候は認めていない.軟骨肉腫の治療は化学療法や放射線療法が無効のため, safety marginを十分にとった広範囲切除が重要であると考えられた.
  • 松葉 芳郎, 岡 淳夫, 新見 健, 坂本 嗣郎
    2006 年 67 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    患者は71歳,女性.老人検診の便潜血反応陽性のために開業医より精査目的で当院紹介.上部消化管内視鏡検査で胃下部後壁大彎寄りに胃癌取扱い規約肉眼型分類2型の病変あり.腫瘍生検で悪性リンパ腫の診断.遠隔転移,表在リンパ節腫大,肝脾腫,末梢血異常細胞の出現など,いずれも認めず.血清LDH, Caは正常.可溶性インターロイキン2受容体 (sIL-2R) は1,680U/MLと異常高値を示した. HTLV-1抗体は陽性.開腹胃全摘, 2群のリンパ節郭清, Roux-en Y吻合再建を施行した.病理組織診断でT細胞性胃悪性リンパ腫と診断された.術後, sIL-2Rも正常範囲になった.食欲も良好で体重も増加傾向となった.しかし,術後2年経過後にsIL-2Rの再上昇,腹腔内傍大動脈から骨盤内,さらに大腿部のリンパ節腫大をきたした.病状次第に悪化し術後2年6カ月で永眠された.
  • 杉本 琢哉, 関野 考史, 左合 哲, 二村 直樹, 堀谷 喜公
    2006 年 67 巻 1 号 p. 64-67
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は67歳の男性で, 1979年に胃癌のため幽門側胃切除術を施行された.病理診断は印環細胞癌, ss, INFγ, ly2, v1, n1, stage IIであった.近医で2001年7月に高ALP血症を指摘され,精査加療目的で当科を紹介された.骨シンチで全身躯幹にびまん性に異常集積を認めた.また,脊椎MRIでもびまん性の転移が疑われた.胸骨から骨髄穿刺を施行したところ印環細胞を認めた.全身検索を行ったが異常を認めなかったため, 22年前の胃癌の骨転移再発と診断し, 5-FUとCDDPによる化学療法を行った.骨シンチ, MRI上では著変を認めなかったが,化学療法中はALP値は著明に減少した.背部痛以外は特に症状が出現せず,診断後15カ月で死亡した.本症は一般的に極めて予後不良とされるが,自験例のように診断後15カ月の間全身状態が比較的良好に保たれる症例は比較的稀であると考えられた.
  • 赤池 英憲, 梶 理史, 安村 友敬, 野方 尚, 矢川 彰治, 小澤 俊総
    2006 年 67 巻 1 号 p. 68-71
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.人間ドックにて上部消化管内視鏡を施行し,幽門前庭部の幽門輪近傍,前壁に亜有茎性の隆起性病変を認めた.肉眼的に過形成性ポリープを疑わせたが,生検で過形成性の成分の中に印環型の異型細胞を認めGroup IVと診断された.癌の併存が疑われたため当科へ入院し,内視鏡的ポリペクトミーを施行した.病理組織学的には胃過形成性ポリープに印環細胞癌と低分化腺癌が併存していた.胃過形成性ポリープに分化型腺癌が併存した報告は散見されるが,印環細胞癌や低分化腺癌が併存した例は極めて稀である.過去の胃過形成性ポリープに未分化型腺癌が併存した症例と併せて,文献的考察を加え報告する.
  • 佐々木 剛志, 杉浦 博, 村上 慶洋, 高橋 弘, 下沢 英二
    2006 年 67 巻 1 号 p. 72-75
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.貧血の精査にて上部消化管内視鏡検査を施行され,体部大彎に径7.5cm大の3型腫瘍と幽門洞前壁に径3cm大の2型の重複胃腫瘍を認めた.入院時肝細胞癌,肝硬変などを認めなかったが, AFPが86ng/mlと高値であった.両病変を含む幽門側胃切除を施行したところ,術後AFPは9ng/mlと正常化した.摘出標本で体部の病変は核異型の強い管状腺癌でAFP染色陽性であったのに対し,幽門洞部の腫瘍では陰性であった. AFP産生胃癌と管状腺癌の重複は稀であり,文献的考察を加え報告する.
  • 高橋 直子, 清水 篤志, 久保 淑幸, 住田 敏之, 谷 雅夫, 阿川 千一郎
    2006 年 67 巻 1 号 p. 76-79
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    今回われわれは術前にNSE 14.0ng/mlと高値を示した胃内分泌細胞癌の1例を経験した.症例は74歳の男性.平成17年1月に健診の胃内視鏡検査で胃角部の3型病変(生検: Group V) を指摘され,平成17年1月21日入院となった.術前胸部CT検査で右肺S2, S6, 左肺S10に微小結節影を認め,心機能評価の間TS-1を術前投与した後, 2月22日幽門側胃切除術, D2郭清術を施行した.病変は径40×30mmの3型進行癌で,病理組織学的所見では静脈侵襲が著しく,髄様に増殖し一部ではロゼット状配列を呈した.免疫組織学的染色でCD56, chromogranin, synaptophsinが何れも陽性であることから胃内分泌細胞癌と診断された.術後4月16日のNSEは4.6ng/mlと低下し, 4月20日の胸部CT検査上の微小結節影は縮小・消失した.術後8カ月経過したが, TS-1による化学療法を継続している.本疾患は早期から遠隔転移をきたし予後不良といわれているため,本症例でも厳重な経過観察を要すると考えられる.
  • 下沖 収, 馬場 祐康, 高橋 正浩, 皆川 幸洋, 阿部 正, 上杉 憲幸
    2006 年 67 巻 1 号 p. 80-84
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    鈍的腹部外傷受傷7日後に発症した遅発性小腸狭窄の1例を経験したので報告する.症例は9歳,男児,自転車で転倒しハンドルで腹部を強打した.初診時,左下腹部圧痛を認めたため経過観察目的に入院した.諸検査にて腹部臓器損傷を認めず,経口摂取良好にて受傷4日目に退院した.受傷7日後に嘔気,腹痛が出現したため再受診し,腸閉塞の診断で再入院した.保存的治療を行うが,腹痛が増強し, CTにて小腸の拡張が増悪してきたため受傷10日目に開腹術を行った. Treitz靱帯から110cmの小腸に大網の癒着と著明な狭窄を認めたため同部を切除した.病理組織学的には上皮の損傷は認めなかったが,筋層の消失と漿膜下脂肪織の線維化を認め,腸間膜損傷に伴う循環障害によらぬ直接的腸管損傷による小腸狭窄と診断した.腹部鈍的外傷後のイレウス症状発現時には,本症の可能性を常に念頭に置くことが重要であると思われた.
  • 飯沼 伸佳, 小林 忠二郎, 高木 哲
    2006 年 67 巻 1 号 p. 85-88
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腸回転異常症は胎生期の中腸の回転異常が原因で起こり,新生児期に発見されることが多く,成人例では比較的稀である.今回,本邦では成人例の報告の少ない腸重積を合併した成人腸回転異常症の1例を経験したので報告する.症例は71歳,男性,腹痛,嘔吐,血便を主訴とし来院した.腹部立位単純X線検査では, niveau形成を伴う腸管拡張像を認め,イレウス管留置時に,下十二指腸角,十二指腸空腸曲を認めず,腸回転異常と診断された.腹部CT検査ではrarget sign様の所見を認め腸重積が疑われた.開腹所見では,回腸結腸型の腸重積を左側腹部に認めた.十二指腸が上腸間膜動脈の右側を走行し,盲腸は左側に位置するnonrotation typeの腸回転異常症と判断された.切除標本には腫瘤性病変を認めず,腸重積の発症について,腸回転異常症が原因の可能性があると考えられた.
  • 槙野 好成, 藤井 敏之
    2006 年 67 巻 1 号 p. 89-92
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    消化管の一部が肝と右横隔膜の間に嵌入した病態はChilaiditi症候群と言われ,嵌入臓器のほとんどが結腸である.われわれは絞扼性イレウスを合併し手術を要した比較的稀な小腸型Chilaiditi症候群の1例を術前に診断し治療する経験を得た.症例は85歳の女性で右季肋部痛を主訴に受診,腹部単純X線, CTで小腸型Chilaiditi症候群と診断し第3病日に手術を行った.開腹所見では,肝と横隔膜間に形成された線維性索状物の間に小腸が嵌入した絞扼性イレウスであった.手術では嵌入小腸を整復したが,切除は必要としなかった.自験例ではCTのwindow条件を変えることで小腸のKerckring襞壁を確認し,非侵襲的に嵌入臓器の同定が可能であった.小腸型Chilaiditi症候群は,索状物による絞扼性イレウスを合併しやすく,手術を念頭においた慎重な経過観察が必要である.
  • 村上 昌裕, 大西 直, 加納 寿之, 中野 芳明, 矢野 浩司, 門田 卓士
    2006 年 67 巻 1 号 p. 93-96
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腸重積の術後に小腸内視鏡下にポリープ切除を行ったPeutz-Jeghers症候群の1例を報告する.症例は41歳,女性.腹痛のため他院で保存的治療を行ったが,軽快せず転院となった. CT上腸重積と診断され,周期的な腹痛が増強したため緊急手術を行った.小腸に重積部位を認め,多発する小腸ポリープを触知したため,重積解除および長径10mm以上のポリープ計3個を切除した.病理組織学的所見で過誤腫性ポリープであり,口唇や四肢の色素沈着および家族歴からPeutz-Jeghers症候群と診断した.術後の経過は良好で退院した後,小腸内視鏡検査を施行し,同様の過誤腫性ポリープを切除しえた.本疾患ではポリープの増大による腸重積の再発や癌化の可能性があり,小腸内視鏡検査による経過観察が有用であると思われた.
  • 天谷 博一, 佐々木 久, 青竹 利治, 打波 大, 田中 國義, 広瀬 和郎
    2006 年 67 巻 1 号 p. 97-101
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性.腹痛と発熱を認め,前医で腹腔内膿瘍の経皮的ドレナージ術を施行された後,精査目的に当科入院となった.腹部CTで腹部大動脈瘤とその腹側に4cm大の膿瘍があり, 1カ月後腹部CTで膿瘍は2.5cmに縮小していたが,腹痛の症状が改善しないため手術を行った.径約1cmの回腸腫瘍と約4cmの腫大リンパ節および回腸の虚血による狭窄を認めた.組織学的にカルチノイド腫瘍と,そのリンパ節転移と診断された.術後1年現在,無再発で外来通院中である.今回われわれは,腹腔内膿瘍が発見の契機となった小腸カルチノイドの1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
  • 宇野 彰晋, 宗本 義則, 三井 毅, 浅田 康行, 飯田 善郎, 三浦 将司
    2006 年 67 巻 1 号 p. 102-106
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性. 2002年6月右下腹部不快感にて近医受診.腹部超音波検査にて回盲部腫瘤を指摘され,当院紹介受診.消化管造影,腹部CT,血管造影などで回盲部の小腸腫瘍および肝転移と診断し,右半結腸切除術を施行した.摘出標本は周辺のリンパ節の腫脹を伴う粘膜下腫瘍であり,病理組織診断では小腸カルチノイドであった.肝転移に対して術後肝動脈塞栓術を施行した.小腸カルチノイドは術前診断が困難であり,発見された時点ですでに転移を認めることが多い.小腸カルチノイドは原発巣が小さな症例でも転移をきたしやすく,予後不良であるため,早期発見および集学的治療に努めることが重要である.
  • 加藤 俊二, 内藤 善哉, 奥田 武志, 木山 輝郎, 徳永 昭, 田尻 孝
    2006 年 67 巻 1 号 p. 107-111
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃全摘後のRoux-Y再建法で,挙上した小腸loop内に癌を認めることは極めて稀である.今回, 57歳女性で (1)loop内小腸の粘膜内癌, (2)食道空腸吻合部の漉Helicobacter pylori陽性異所性胃粘膜と過形成性ポリープ, (3)loop盲端側小腸の過形成性粘膜増生が認められた.本症例は病理学的にポリープの形態はCronkhite-Canada症候群の特徴を有するが,病歴で異時性多発癌があり,臨床的にはsporadicな (Cowden病型)若年性ポリポーシスを疑い遺伝子検索したところ,PTEN遺伝子異常を伴っていた.そこで本症例を非典型例Cronkhite-Canada症候群と診断した.胃全摘後の100p内小腸癌は,頻度は少ないものの,非定型ポリポーシス症例における多重複癌症例や,本例のような特異な経過を取る症例では, PTEN遺伝子を含む遺伝子異常の検索とともに,定期的な上部および下部内視鏡検査の観察が異時性癌発見のために必要と考えられた.
  • 前多 力, 山本 哲朗, 北島 政幸, 渡部 智雄, 坂本 一博, 鎌野 俊紀
    2006 年 67 巻 1 号 p. 112-117
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,女性. 2003年5月,労作時呼吸困難が出現し近医受診,貧血を指摘された.上部内視鏡検査,大腸内視鏡検査では出血源の同定には至らず,鉄剤投与で経過観察されていた.同年10月に症状増悪し,当科紹介受診となった.腹部CT, MRI検査で,左上腹部に10×9cm大の嚢胞状腫瘍を認めた.原発部位を診断するため腹部血管造影検査を施行,空腸原発のGastrointestinal stromal tumor (GIST)の疑いで手術を施行した.病理組織検査で,わずかに存在した充実性部分は,紡錘形細胞が束状配列し, KIT強陽性, CD34弱陽性, α-SMA, vimentinが陽性, MIB-1 labeling index 4%,腫瘍細胞分裂像も400倍高倍視野50視野で5未満であり,中リスク群のGISTと診断した. GISTは腫瘍内出血に伴い嚢胞状形態を呈し診断に難渋することがある.嚢胞状形態を呈する腫瘍においてもGISTを鑑別診断に入れる必要があると思われた.
  • 倉本 正文, 蓮尾 友伸, 石原 光二郎, 池嶋 聡, 岩槻 政晃, 吉田 光宏
    2006 年 67 巻 1 号 p. 118-121
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性.腹痛にて近医を受診され,下腹部に腫瘤を指摘された.痛みは一旦軽快したが,数日後下腹部痛,腹部膨満出現したため当科紹介となった.腹部CT検査にて盲腸から連続する4×10cmのcysticmass lesionを認めた.小腸は著明に拡張してイレウス像を呈し,腹水も認め,絞扼性イレウスが疑われたが,腫瘤との因果関係は不明であった.緊急手術を施行したところ,虫垂が著明に腫大,先端がS状結腸に癒着し,その間隙に回腸がはまり込んで絞扼されていた.変色回腸を含めて回盲部切除術を施行した.病理組織学的検査より虫垂粘液嚢胞腺腫と診断された.腸重積によるイレウスを併発した虫垂粘液嚢胞腺腫の報告例は散見されるが,絞扼性イレウスを併発した報告はほとんどなく,極めて稀な症例であると思われた.
  • 宮原 利行, 飯田 辰美, 水谷 憲威, 安村 幹央, 山田 卓也, 竹村 博文
    2006 年 67 巻 1 号 p. 122-126
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は25歳,男性.主訴は右季肋部痛・高熱.血液検査で強い炎症反応を認めたため入院した.腹部CTで肝膿瘍を認め,経皮経肝膿瘍ドレナージ術を施行し,乳白色無臭の膿汁を認めた.改善傾向を認めなかったため開腹膿瘍ドレナージを施行した.その後,膿瘍の増大を認めたため,膿瘍を含む肝部分切除を施行した.この時,回盲部に穿孔を認め,回盲部切除術を施行し,病理診断で多数のアメーバー虫体を確認した.直ちにメトロニダゾールの投与を行ったが,大量下血が出現し,止血目的で直腸・S状結腸切除術,人工肛門造設術を施行した.その後の術後経過は良好で,肝膿瘍も消失している.
    穿孔性腹膜炎,肝膿瘍を合併した劇症型アメーバー性大腸炎を経験し,死亡率の高い劇症型症例を3期の手術で救命できた.本症は臨床上稀な疾患であるが,本疾患を念頭に置けば診断,治療は比較的容易であり,早期の治療が重要である.
  • 高橋 崇真, 竹之内 靖, 木村 充志, 津金 恭司, 小川 敦司, 河野 弘
    2006 年 67 巻 1 号 p. 127-131
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は89歳,女性で,腹痛と腹部膨満感が出現した翌日に近医を受診し,腸閉塞の診断で当院へ紹介となった.腹部単純写真にて拡張した大腸ループの支点が右側に位置しており,ループの右側に小腸ガスが認められた.腹部CT検査にて著明な大腸ガス像を認め,下部大腸閉塞を疑い注腸検査を施行したがS状結腸までに閉塞を認めなかった.閉塞部位がさらに口側にある大腸イレウスと診断し,同日緊急開腹術を施行した.開腹すると上行結腸が後腹膜に全く固定されておらず,上行結腸が横行結腸を中心に反時計方向に180度捻転しており,上行結腸軸捻転症と診断した.捻転を解除後,上行結腸を後腹膜に固定し手術を終了した.退院後第4病日に癒着性腸閉塞で再入院となった際のイレウス管造影にて腸回転異常の存在も疑われた.
    上行結腸軸捻転症は比較的稀であるが,腹部単純写真の所見により術前診断ができる可能性があると考えた.
  • 和田 幸之, 新見 健, 松葉 芳郎
    2006 年 67 巻 1 号 p. 132-135
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は45歳,女性. 20代から直腸粘膜脱症候群による治療抵抗性の症状に苦しんでいた.直腸Ra~Pにかけて全周性の潰瘍を認め,生検にてGroup4にて直腸癌を疑うとの生検所見を得たこともあり,腹会陰式直腸切断術を施行した.術中に腹水を認めたため細胞診に提出したところ,術後にclass V, adenocarcinomaの報告を得た.術中所見や術後の画像検査で明らかな卵巣腫瘍は認められなかったが,卵巣由来の腫瘍が強く疑われたため,再度開腹手術とし,子宮・両側付属器切除を施行した,病理診断は左卵巣悪性Brenner腫瘍であった.卵巣Brenner腫瘍は非常に稀な卵巣腫瘍で,そのほとんどは良性,悪性はその2~5%と非常に稀な腫瘍である.以上,直腸粘膜脱症候群に非常に稀な卵巣悪性Brenner腫瘍を合併した症例を経験したので報告する.
  • 田中 達也, 西脇 巨記, 丹羽 傳
    2006 年 67 巻 1 号 p. 136-139
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,男性.平成14年12月に直腸癌穿孔にて直腸切除術(Hartmann手術)を施行し,平成16年10月に頻回の下痢を主訴に来院した.自然肛門から造影剤を注入すると直腸断端から回腸末端より約20cm口側の回腸に流入した.直腸内視鏡では肛門縁から15cm口側の直腸断端に瘻孔を認めた.局所再発による直腸断端回腸瘻の診断にて平成16年10月に開腹手術を行った.直腸断端と回腸が一塊となっており,瘻孔部前後の回腸を切除,これを端々吻合し,直腸断端を肛門側に追加切除した. S状結腸は直腸断端に吻合し,人工肛門を閉鎖した.切除標本では癒着部に瘻孔を認め,病理組織学的検索で瘻孔周囲に中分化腺癌を認めた.直腸癌の再発により直腸回腸瘻が発生し,摘出しえた報告は他にないためここに報告する.
  • 平下 禎二郎, 荒巻 政憲, 末廣 剛敏, 狩野 〓, 卜部 省悟, 辻 浩一
    2006 年 67 巻 1 号 p. 140-143
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,男性.黄疸を主訴に当院紹介となった.腹部超音波検査, CT検査にて,肝門部に5cm大の腫瘤と肝内胆管の拡張を認めたため,左右両葉にPTBDを挿入し胆管造影を行った.左右胆管の肝門部での完全閉塞を認めた.肝炎ウイルスマーカーは陰性であった.肝門部胆管癌の診断にて,肝拡大右葉切除,胆道再建,門脈再建術を施行した.病理組織学的には異型の強い大型かちやや中型のリンパ球が肝門部を中心として肝,胆嚢へ浸潤増殖していた.免疫染色にてLCA(+), L26(+), UCHL(-), EMA(-) であり, non-Hodgkin lymphoma(diffuse large B cell type)と診断された.稀な疾患である肝原発悪性リンパ腫の1切除例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 池永 直樹, 阿部 祐治, 西原 一善, 松永 浩明, 中守 真理, 山本 一郎, 光山 昌珠
    2006 年 67 巻 1 号 p. 144-151
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    混合型肝癌は原発性肝癌の0.54%を占める稀な疾患で,胆管細胞癌に類似した進展形式をとり予後不良とされている.当院では1979年から2004年の間に423例の原発性肝癌に対して肝切除を行い,そのうち4例(0.95%)が混合型肝癌と診断された.平均年齢67.5歳,男女比3:1で4例中3例が腫瘍最大径5cm以上であり, HBs抗原陰性, HCV抗体陰性のものが2例, HCV抗体陽性が1例, HBs抗原陽性が1例であった.術前診断は画像所見,腫瘍マーカーなどより2例で混合型肝癌を疑い,残りの2例は肝細胞癌であった.それぞれ術後5カ月後死亡, 3年8カ月後死亡, 1年10カ月後死亡, 5カ月後生存,と予後は不良であった.再発形式はリンパ節,肝,骨,肺,心などであり,残肝再発に対しては,従来の肝動注化学療法や肝動脈化学塞栓療法がやや有効であった.
  • 森本 修邦, 石井 孝明, 篠崎 幸司, 川崎 靖仁, 大鶴 実, 安田 青兒
    2006 年 67 巻 1 号 p. 152-157
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,男性.心窩部痛を主訴に当院受診.腹部超音波検査にて胆石胆嚢炎と診断され,抗生剤にて症状軽快するも3カ月後に再度腹痛を認めたため,当院受診.血液検査にてビリルビンの上昇を認め,腹部超音波検査にて総胆管結石と肝内胆管,総胆管の拡張を認めたため,閉塞性黄疸の診断にて緊急入院となった.第11病日のERCPにて総胆管内に結石を複数認めたためESTを施行した.また第9病日の造影腹部CTにて右門脈内の塞栓と肝門部胆管周囲に腫瘍陰影を認め,肝門部胆管癌と腫瘍塞栓が疑われたため,血管造影を施行したところ,胆嚢動脈の拡張やencasementを認めず,ドップラーエコーにて門脈塞栓内に血流を認めなかったため,胆石胆嚢炎による門脈内血栓症が考えられた.そのため第29病日に再度腹部CTを施行したところ,右門脈内の血栓と胆嚢壁の縮小化を認めたため,胆石胆嚢炎の診断にて第32病日に開腹胆嚢摘出術を施行した.
  • 村田 年弘, 荒田 尚, 田中屋 宏爾, 武田 晃, 安井 義政, 竹内 仁司
    2006 年 67 巻 1 号 p. 158-162
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,男性.舌癌の全身精査の際,腹部CTにて肝左葉に腫瘤影を指摘され,手術目的に当科紹介となった.血液・生化学検査にて異常所見を認めず,腫瘍マーカーも正常であった.腹部超音波およびCT検査所見で肝S3領域に嚢胞性病変の内部に乳頭状に発育する腫瘤影を認めた. MRI検査では, T1でlow, T2でhigh intensityの均一な信号を示す嚢胞性病変の内部に充実性の結節を認めた.腹部血管造影検査では, A4を栄養血管とする腫瘍濃染像を認めた.術前USガイド下に嚢胞液の細胞診を行ったところclass IIIであったが,腫瘤組織の生検にて胆管嚢胞腺癌と診断し,肝左葉切除術を行った.摘出標本では3.2cm大の嚢胞性病変の内部に2.2cmの乳頭状に発育をした充実性成分を認めた.胆管嚢胞腺癌は稀な疾患であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 徳丸 勝悟, 長谷川 洋, 坂本 英至, 小松 俊一郎
    2006 年 67 巻 1 号 p. 163-166
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    膵性腹水の治療中に腹腔内出血をきたした稀な症例を経験したので報告する.症例は57歳,男性,原因不明の腹水にて近医入院中に急性腎不全を引き起こし,当院へ紹介となった.当院入院時の腹部CTで大量の腹水と膵仮性嚢胞を認め,膵性腹水の診断で治療を開始した。腎不全に対しては透析導入を行った.入院5日目に突然の強い腹痛と腹部膨満感の増強が出現し,造影CTで膵嚢胞の増大とその内部への造影剤漏出を認めた.血管造影で中結腸動脈左枝に仮性動脈瘤を認め,そこから造影剤漏出を認めた.同血管ヘカテーテルを挿入できず緊急手術となった.開腹すると約7Lの血性腹水を認めた.膵尾部尾側に破裂した嚢胞を認め,それに接した横行結腸間膜の血管より出血を認めた.止血と壊死組織の除去を行い手術を終了した.膵仮性嚢胞の破裂から難治性腹水を生じ,さらに嚢胞内面に接した仮性動脈瘤の出血が嚢胞破裂部を通って腹腔内にまで及んだ稀な症例と考えられた.
  • 喜友名 正也, 戸田 隆義, 赤崎 満, 座波 久光, 金城 浩
    2006 年 67 巻 1 号 p. 167-171
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,女性.統合失調症にて近医通院加療中, ALPの軽度上昇を認め,平成10年10月前医へ紹介となる.腹部CT検査所見で総胆管と膵管の拡張がみられたが合流部は不明瞭であった. MRI検査所見で,主膵管内部に腫瘍性病変が疑われた.血管造影検査所見で膵鉤部に腫瘍濃染を認め,膵悪性腫瘍を疑い,膵頭十二指腸切除術が施行された.術中所見では膵管に異常は認めず,総胆管の軽度拡張を認めた.リンパ節の腫大はみられなかった.再建はPD IIIa (今永変法)にて行った.肉眼的に総胆管の軽度拡張がみられた.十二指腸の口側断端部では,漿膜側に5mm大の顆粒細胞腫を認めた.腫瘍濃染を示した膵鉤部の病変では,漿膜下層にリンパ管腫を認めた.乳頭部では, Oddi括約筋の膵臓側の膵管内で異型のない重層扁平上皮が肥厚し,一部で乳頭状に増生し,扁平上皮化生と考えられた.現在に至るまで,再発の徴候はない.
  • 狩野 孝, 水島 恒和, 位藤 俊一, 水野 均, 尹 亨彦, 岩瀬 和裕
    2006 年 67 巻 1 号 p. 172-177
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は43歳,男性. 2002年10月,右肺癌(低分化腺癌)で右肺上葉切除術・胸壁合併切除術を施行した.術後経過観察中, 2004年1月からCEAの上昇を認めた.同年10月にはCEA 37.3ng/mlとさらに上昇が続いたため, FDG-PET検査を施行したところ膵尾部に集積像を指摘された.腹部CT検査では膵尾部にFDG-PET検査と一致して径25mm大の低吸収域を認めた.他部位には病変を認めなかった.原発性膵癌あるいは肺癌膵転移を疑い, 2004年12月に左手補助腹腔鏡補助下膵体尾部切除術を施行した.切除標本では膵尾部に25×15mm大の白色充実性,境界明瞭な腫瘤を認めた.病理組織学的検査では低分化型腺癌であった.免疫染色の結果, TTF-1陽性,肺サーファクタントも一部で陽性であったため,肺癌膵転移と診断した,肺癌の膵転移は過去本邦において4例が報告されているに過ぎず,文献的考察を加えて報告する.
  • 稲吉 厚, 渡邉 すぎ子, 田中 洋, 田上 弘文, 八木 泰志, 蔵野 良一
    2006 年 67 巻 1 号 p. 178-182
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は40歳,女性で,食欲低下と腹部膨満感があるため近医で腹部CT検査を受けたところ,腹腔内に巨大腫瘤を指摘され当院を紹介された.胃,大腸内視鏡検査では,圧排所見のみで粘膜面には異常を認めなかった.腹部エコー, CTおよびMRI検査において,左上腹部に比較的血流の少ない20cm大の充実性腫瘤を認め,膵腫瘍を疑い手術を施行した.腫瘤は18×22×7cmの線維性腫瘍で,横行結腸間膜と一塊となり,胃,膵臓を巻き込むように増殖していた.表面は平滑,硬さは弾性硬であり割面は白色調であった.病理組織学的,免疫組織学的に,横行結腸間膜発生と考えられる腸間膜線維腫症と診断された.本症は家族性大腸線腫症や開腹手術の既往のある患者に発生することが多く,それらを伴わない単独発生は稀と考え報告した.
  • 折茂 達也, 片岡 昭彦, 富岡 伸元, 高橋 典彦, 近藤 正男, 藤堂 省
    2006 年 67 巻 1 号 p. 183-186
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は35歳の女性. 1年9カ月前からの腹部違和感を主訴に当科を受診した.上腹部正中に大きさ10×10cmの可動性良好な腫瘤を触知し,またCT検査,超音波検査で腹腔ほぼ正中に最大径13cmの嚢胞性腫瘤を認めた.腸間膜嚢腫もしくは大網嚢腫の診断で摘出術を施行した.手術所見では,腫瘍は大網より発生していた.摘出標本は大きさ20×16×5cm,重量590gで,病理組織学的には悪性所見は認めず, cystic lymphangiomaであった.
    大網嚢腫は小児期に発症することが多い比較的稀な疾患である.臨床症状は軽微なことが多いが,中には急性腹症として発症する症例もあり,治療は手術による嚢腫摘出術である.
  • 佐藤 勉, 須田 嵩, 山田 六平, 千島 隆司, 利野 靖, 今田 敏夫
    2006 年 67 巻 1 号 p. 187-191
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃癌術後癌性腹膜炎による癌性腹水に対して腹腔静脈シャント術(以下PV-shunt) を施行し, QOLが改善された1例を経験したので報告する.症例は58歳の男性で2003年1月,胃癌で胃全摘(D2)・脾臓合併切除・Roux-Y再建術施行(Stage II). 術後11カ月目の2003年12月腹部膨満感,両下肢浮腫増悪のため入院.精査の結果,腹膜再発による癌性腹水と診断され,利尿剤・抗癌剤を投与したが,腹水コントロール不良. 2005年1月,局所麻酔下でDenver peritoneo-venous shunt systemを用いたPV-shuntを施行.術後合併症を認めず,術後13日目に独歩での退院可能となった. 2005年7月で現病死されるまでの約53%の期間を在宅で過ごすことができ,長期に渡りシャントトラブルを認めず患者のQOLの改善に有効であった.
  • 野中 健太郎, 岩瀬 和裕, 位藤 俊一, 水野 均, 水島 恒和
    2006 年 67 巻 1 号 p. 192-196
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃癌術後の中心静脈カテーテル菌血症に起因したと考えられた化膿性脊椎炎の2例を経験した.症例1は79歳の男性で幽門側胃切除術と肝部分切除術を施行,縫合不全のため中心静脈カテーテルを挿入した.挿入後53日目に39.1°Cの発熱を認め,カテーテルを抜去し解熱を確認した.抜去後2日目から腰背部痛が出現, 3カ月後に腰背部痛の増悪と歩行困難を認め化膿性脊椎炎と診断された.症例2は86歳の男性で幽門側胃切除術を施行,術後経口摂取不良のために中心静脈カテーテルを挿入した.挿入後23日目に38.9°Cの発熱を認め,カテーテルを抜去し解熱を確認した.抜去後7日目に腰痛が出現し化膿性脊椎炎と診断された. 2例とも動脈血培養で菌血症の起炎菌を確認した.化膿性脊椎炎の起炎菌である可能性が高いと判断し保存的治療にて軽快退院した.カテーテル菌血症後に腰痛を認めた場合,化膿性脊椎炎を念頭に置く必要があると考えられた.
  • 岡村 行泰, 石榑 清, 原田 明生
    2006 年 67 巻 1 号 p. 197-200
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,女性,腹痛,嘔吐にて当院内科を受診.腹部は平坦,軟であったが,腹部単純X線写真で小腸ガス像・鏡面像を認め,腹部CTで腸管の限局性拡張,腸間膜集簇像を認めた.腸閉塞の診断でイレウス管を留置し,保存的治療を開始した.保存的治療で改善を認めないためイレウス管留置後5日目に手術を施行した.開腹すると十二指腸下行脚外側に異常窩を認め,空腸が約20cm嵌入していた.嵌入空腸を整復したところ,腸管の循環障害は認めなかったため,約2cmのヘルニア門を縫合閉鎖した.本症例は比較的稀な内ヘルニアの中でもヘルニア門の位置する場所が特徴的であった.同様の形態を示す内ヘルニアの報告例は少なく,解剖学的位置関係から鑑別が必要と思われる右傍十二指腸ヘルニアと比較し,文献的考察を加え報告する.
  • 小俣 秀雄, 河野 浩二, 須貝 英光, 藤井 秀樹
    2006 年 67 巻 1 号 p. 201-205
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.平成16年7月12日,右拇指球部軟部腫瘍の診断で,右拇指球部生検,右腋窩リンパ節郭清を施行した.病理組織診断は, undifferentiated high grade pleomorphic sarcomaで,リンパ節転移は陽性であった.平成16年10月頃より,左腰痛が出現し,本人の希望でFDG-PET検査を行ったところ,左側腹部に異常集積が認められたため,精査・加療目的で当科に入院した.入院時,左側腹部に径5cm程の弾性硬,表面整で可動性不良な腫瘤を触知した.腹部CT検査では,下行結腸内側に,径4cmの内部が不均一な腫瘤が認められた.注腸造影検査では,下行結腸は内側より壁外性に圧排されていた.悪性線維性組織球腫の腹腔内リンパ節転移を強く疑い,平成17年1月13日,左結腸切除,リンパ節郭清を施行した.病理組織診断は,右拇指球部悪性線維性組織球腫の腹腔内リンパ節転移であった.
  • 夏目 誠治, 長谷川 洋, 坂本 英至, 小松 俊一郎, 広松 孝, 田畑 智丈
    2006 年 67 巻 1 号 p. 206-210
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腹直筋内に発生した顆粒細胞腫の1例を報告する.症例は34歳,女性,左下腹部腫瘤を主訴に来院した.左下腹部の腹直筋内に約2cmの硬い腫瘤を触知し,穿刺吸引細胞診にて顆粒細胞腫と診断した.顆粒細胞腫は基本的に良性腫瘍であるものの,悪性例の報告もあることから切除手術を施行した.切除標本において, 15×30mmのやや不整形な白色充実性腫瘍を腹直筋内部に認めた.病理組織学的には類円形の核と好酸性顆粒状の豊かな胞体を有する腫瘍細胞がび漫性に増殖しており,核分裂像と核小体の明瞭化を認めることから異型顆粒細胞腫と診断した.本邦において骨格筋内に発生する顆粒細胞腫は自験例を含めて27例が報告されているのみであり,これら報告例について若干の考察を加え報告する.
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