日本臨床外科学会雑誌
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早期大腸腺扁平上皮癌術後に多発肝転移を認めた1例
八木 隆治竹中 博昭折田 雅彦林 雅規守田 信義濱野 公一
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2006 年 67 巻 6 号 p. 1360-1363

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抄録

症例は76歳の男性で,貧血の精査の目的で入院した.大腸内視鏡検査で横行結腸に10mm大のIsp型ポリープが認められEMRが施行された.病理組織検査で大腸腺扁平上皮癌,深達度はsmと診断された.脈管侵襲があり,先進部が低分化癌であったことより,横行結腸部分切除術を追加した.切除標本内に癌の遺残はなく,リンパ節転移も認めなかった.術後1年目の精査では無再発であったが, 1年半後のCTで多発肝腫瘤を認め,肝腫瘤の生検により大腸腺扁平上皮癌の肝転移と診断された.転移成分が低分化癌,扁平上皮癌であったためTS-1+シスプラチンによる化学療法を開始した. 2クール終了後,肝のlow density areaは一部縮小傾向を示した. sm癌であっても扁平上皮癌・低分化癌の成分を認める場合,慎重な経過観察が必要であると考えられた.

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