日本臨床外科学会雑誌
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特発性直腸穿孔術後に発症した悪性症候群の1例
山川 俊紀小野田 裕士大橋 龍一郎泉 貞言鈴鹿 伊智雄塩田 邦彦
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2006 年 67 巻 8 号 p. 1828-1831

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抄録

症例は38歳,男性.ヒステリー性神経症・頭部外傷性癩癇・不眠にて内服治療を受けていた.当科にて平成17年6月8日,特発性直腸穿孔に伴う汎発性腹膜炎の診断でHartmann手術施行.第4病日より39°Cの稽留熱,四肢筋のfasciculation,硬直を認めた.第5病日に40°Cの発熱,意識障害,振戦を認め,第6病日には循環動態不安定, CPK1,308IU/lの上昇にて悪性症候群を疑った. ICU入室,全身管理の上Dantrolene sodiumの投与開始となった.第8病日には尿中ミオグロビン定性陽性, CPK122,370IU/lと上昇したが,その後全身状態改善し術後56日目に転科となった.死亡率約10%の悪性症候群に対して, Dantrolene sodiumの投与にて救命することが出来た特発性直腸穿孔を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

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