日本臨床外科学会雑誌
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巨大肝嚢胞自然破裂の1例
稲垣 大輔熊本 吉一片山 清文白石 龍二田邉 浩悌谷 和行
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2006 年 67 巻 8 号 p. 1853-1857

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抄録

巨大肝嚢胞自然破裂に対して腹腔内ドレナージと肝嚢胞天蓋切除術を施行し治療した1例を経験したので報告する.症例は73歳,女性.抗血小板薬を内服中であった.起床時に腹部全体に広がる激しい腹痛を自覚し来院.腹部CT検査では肝右葉後区域に径12cmの肝嚢胞を認め,嚢胞壁は不連続であった.肝嚢胞自然破裂による汎発性腹膜炎の状態と診断し,緊急手術を施行した.腹腔内には暗赤色の血性腹水が多量に貯留し,肝右葉後区域に肝嚢胞を認めた.抗血小板薬内服中のため腹腔内ドレナージのみ施行した.術後,肝嚢胞は再び増大し,腹痛や呼吸苦が出現した.肝嚢胞は17cmまで増大していた.経皮的肝嚢胞ドレナージ施行して肝嚢胞を縮小したのちに,開腹下に肝嚢胞天蓋切除術を施行した.術後経過は良好であり,手術より1年後の腹部CT検査では,肝嚢胞の再発は認めなかった.

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