日本臨床外科学会雑誌
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噴門側胃切除後の難治性逆流性食道炎に対して下部食道残胃全摘を施行した1例
石井 博道坂東 悦郎森本 幸治小島 則昭川村 泰一米村 豊
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2006 年 67 巻 9 号 p. 2057-2060

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抄録

62歳,男性.特記すべき既往なし. 1999年に他院で早期胃癌に対して噴門側胃切除・D1+α・食道残胃前壁吻合再建を施行され外来で経過観察されていたが術後早期より胸焼けを訴え,内服薬投与を継続的に受けていたが軽快せず,経口摂取困難な状態が続いていた. 2003年12月に当センターを紹介され精査したところ,上部消化管内視鏡検査で下部食道に逆流性食道炎とこれに伴う食道潰瘍を認めた.保存的に経過観察していたが,自覚・他覚所見ともに軽快せず, 2004年12月に手術を施行,左開胸開腹下部食道残胃全摘術・Roux-en Y再建を行った.術後合併症はなく,症状も軽快し経口摂取も良好で術後21日目に退院した.術後1年の現在でも症状なく,内視鏡所見も改善した.噴門側胃切除後の難治性逆流性食道炎に対して食道下部残胃全摘術施行がよい治療法であることが示唆された.

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