雪氷
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海氷の直流電気伝導特性
戸山 陽子西尾 文彦長谷川 順子
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2001 年 63 巻 2 号 p. 253-264

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抄録

海氷の直流電気伝導機構は,ブラインが海氷の結晶粒界に存在しているため,プロトン伝導よりもブライン伝導が大きく寄与する.ECMを用いた海氷の塩分量測定を試みた.北海道東部のサロマ湖の海氷で測定したECMの結果では,海氷の温度が-5.0℃以上の場合,ECM電流は海氷の塩分量の関数となり,海氷め塩分量を測定できる.ECM電流i (μA)と海氷の塩分量S(‰)の関係はS=Aib+Cとなる経験式を得た.一方,海氷が-5.0℃以下の場合,ECM電流は海氷の結晶構造に依存した伝導特性を表わす.この現象を明らかにするため,単結晶の人工海氷を作成し,直流電気伝導度の温度特性曲線を作成した.海氷のブライン内で起こる固体塩の析出温度-23.0℃,-44.0℃,-54.0℃で直流電気伝導度の温度特性曲線に変曲点が確認された.
ECMは高分解能で連続的に測定できるので,海氷の塩分量を詳細に測定することができる.また海氷の直流電気伝導特性は,ブラインの塩分量測定や,温度によるブラインの相変化を知ることに役立つことが期待される.

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© 公益社団法人 日本雪氷学会
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