膵臓
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慢性膵炎臨床診断基準2009
診断基準の解説―4.膵酵素―
成瀬 達
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2009 年 24 巻 6 号 p. 666-670

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抄録
今回の慢性膵炎臨床診断基準改訂案では血中または尿中の膵酵素の異常が診断項目に取り上げられている.膵酵素測定は簡便で,反復する腹痛患者の中から慢性膵炎患者を拾い上げるには有用である.しかし,膵酵素異常単独では慢性膵炎の診断感度および特異度は極めて低いため,引き続きUS,CTなどの画像検査により慢性膵炎に特徴的画像所見を捉えることが診断に必要である.慢性膵炎における膵酵素の一過性の上昇は急性膵炎の合併,持続性の上昇は膵仮性嚢胞の合併を示唆する所見である.慢性膵炎の進行により膵腺房細胞の脱落が生じると血中膵酵素は低下する.血中トリプシン値の低下は膵外分泌機能の低下を最も反映する.
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© 2009 日本膵臓学会
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