抄録
膵外分泌障害は,従来からの慢性膵炎臨床診断基準において有力な診断根拠であり独立して可能な診断項目であった.しかし,膵外分泌障害は病態診断であり,慢性膵炎に必ずしも特異的所見ではない.検査法として精度の優れたセクレチン試験や簡便な便中キモトリプシン活性が実施困難となり,現状では膵外分泌機能を評価する検査はBT-PABA試験のみとなった.この試験の臨床的評価は十分検証されており,補助的診断法としては確立している.しかし,その評価においてはPABA代謝への影響などを考慮·除外した上での判定,すなわち尿中PABA排泄率70%という基準値以下の再現性が必要である.このように実施された「BT-PABA試験で明らかな低下を複数回認める」場合を膵外分泌障害と診断する.改訂基準は6つの診断項目からなるが,より軽微でより早期の慢性膵炎診断根拠の主体·主流は組織学的変化とそれを反映する画像検査法であり,残り4つの臨床像からなる診断項目の一つとして膵外分泌障害は位置付けされる.