2011 年 54 巻 8 号 p. 672-674
3月17日から20日の4日間,兵庫医科大学の医療班として宮城県石巻市にある鹿妻小学校避難所で医療活動を行った.震災後1週間経過していたが避難者数は増加し続けており,仮設診療所に訪れる患者数も日々増加していき,4日目には1日180人の患者の診療を行った.中高年と小児の受診者が多く,高血圧,糖尿病,呼吸器疾患および消化器疾患などの慢性疾患と風邪などの急性疾患に対して,限られた薬剤の残薬を意識しながらの診療を行わざるをえなかった.被災前にSU薬とインスリン注射薬を使用していた患者が多かったが,ほとんどの患者の普段の血糖状況は不明であり,限られた食事に対して血糖測定を診察時に行い,その値をみて処方内容を検討した.情報の共有が被災地と都市部でなされておらず,正確な情報に基づいた薬剤の入手とはいえず,今後の課題として,十分量のSU薬とインスリン注射薬および液体タイプのブドウ糖の準備と伝達および搬送手段の確保も重要である.