本研究は, 施設・車両などのハードウェア, 運用・法制度などのソフトウェアそれぞれが組み合されたトータルシステムである鉄道の発展を, 段階発展モデルで表現し, このモデルから鉄道の発展をハードウェア, ソフトウェア両技術の相互関係として考察を行い, 特に, その中で土木技術の発展が果した役割を評価し, これからの鉄道整備の在り方を論考するものである. 本研究では, 鉄道技術の総合的な発展指標として表定速度を採用した. この表定速度を北海道の主要都市間を結ぶ列車について, 鉄道の開通時から時系列的に調査を行った. その結果, 表定速度の変遷が成長曲線モデルに類似した曲線を示し, それが幾度も繰返されることが明らかとなり, それより時代区分を行うことが可能であることがわかった. さらに, その要因を知るために, 本研究が対象とした路線区について, 施設・設備や車両の改良, 運用や法制度の変更時期などのデータベースを作成し考察を行った. その結果, 鉄道システム技術の発展は, ハードウェア, ソフトウェア両技術の協調発展がある場合に特に著しいことがわかった.
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