日本透析医学会雑誌
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透析患者における副甲状腺腫切除術の心臓に及ぼす影響
高見沢 重隆太田 真佐藤 成明宇都宮 正範小野 益照斎藤 広重川口 良人酒井 紀
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1994 年 27 巻 8 号 p. 1133-1138

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抄録

透析患者における二次性副甲状腺機能亢進症の心臓に及ぼす影響を検討するため, 副甲状腺腫切除術 (PTX) 1年後の心機能および形態の変化を観察した.
対象はPTXを施行したCAPD患者3例, HD患者11例と年齢, 性別, 透析期間に有意差を認めないCAPD患者4例, HD患者10例. PTX施行例では術前と1年後に, 対照例では維持期1年間にてMモード心エコー図法を用い, 心室中隔厚 (IVS), 左室後壁厚 (PW), 左室拡張末期径 (LVDd), 左室収縮末期径 (LVDs), 心筋重量係数 (LVMI), 心係数 (CI), 左室駆出率 (EF), 左室平均円周短縮速度 (mVcf), relative wall thickness (RWT) を計測し, 同時に心拍数 (HR), 収縮期血圧 (sBP), 拡張期血圧 (dBP), 心胸比 (CTR), またHt, c-PTH, Ca, Pも測定した.
対照群においてはすべての指標で有意な変化を示さなかったのに対し, PTX施行例では1年後にEF, mVcf, RWTは変化しなかったが, IVS, PW, LVDd, LVMI, CIの低下を認めた.
二次性副甲状腺機能亢進症例に行ったPTX 1年後に心筋厚と左室径は減少し, 過剰の副甲状腺ホルモンは遠心性心肥大作用に関与することが考慮された.

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