日本消化器内視鏡学会雑誌
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膵癌に伴う上部消化管病変の検討
梶原 猛史那須 淳一郎平埼 照士仁科 智裕片岡 淳朗日高 聡森脇 俊和壼内 栄治山内 雄介舛本 俊一谷水 正人兵頭 一之介
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2005 年 47 巻 6 号 p. 1220-1226

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抄録

【背景・目的】膵癌症例において上部消化管内視鏡検査で異常所見がみられることは少なくない.今回われわれは,膵癌に伴う上部消化管病変について検討した.【方法】過去5年間に当院で診断した膵癌症例のうち,診断時に上部消化管内視鏡検査を施行された77例(男性42例,女性35例)を対象とし,食道,胃,十二指腸の異常所見について検討した.【結果】56%の症例で膵癌に伴う上部消化管病変を認めた.7例(9%)で食道に,23例(30%)で胃に,19例(25%)で十二指腸に異常所見を認めた.また,膵尾部癌の有所見率が88%と高率であった.胃のみの静脈瘤,胃上部領域後壁の壁外圧迫や直接浸潤,十二指腸下行脚内側の異常所見が膵癌に特徴的であった.【結論】上部消化管内視鏡検査において,胃のみの静脈瘤,胃上部領域後壁の壁外圧迫や直接浸潤,十二指腸下行脚内側の異常所見が認められれば,膵癌の存在を疑うべきである.

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