2010 年 66 巻 1 号 p. 61-72
シールドトンネルなど地下構造物の縦断方向の耐震検討では,構造物に沿った地震波のみかけの伝播速度の評価が重要である.既往の研究では表面波の位相速度を利用することで安全側の評価を行う方法などが提案されているが,地盤の軸ひずみに関して実状に即した評価を行うことを目的とする場合に,みかけの伝播速度としてどの程度の値を用いるべきであるかについては,これまで十分な検討が行われてこなかった.そこで,本研究では,M5.3~M8.0の13の地震に対するシールドトンネルにおける地震観測結果,および,セグメントリング間の相対変位の計測結果に基づき,地震波の見かけの伝播速度に関する検討を行い,見かけ入射角依存性など,見かけの伝播速度に関するいくつかの特徴を明らかにした.