農業機械学会誌
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ラオスの農業機械化と制度的システムに関する工学的特質 (第2報)
かんがい農法における社会経済的特性について
サックバヴォン クーネ小池 正之瀧川 具弘
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2008 年 70 巻 6 号 p. 59-68

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抄録

ラオス国サバナケット県のかんがい地区に位置する一集落を対象として, 農業機械化の社会経済的特性に関わる聞き取り調査を行い, その分析を行った。従来の自給農業の影響が営農行動にみられたものの, 貨幣経済の定着と新技術導入という社会状況を比較して, 農民の意識変革が制度的に求められていることが分かった。機械所有形態に基づく3グループの分類について, 単位面積当たり収益と総収入を求め, その結果賃耕と搗精サービスを行っている農家において比較優位性が認められることを指摘した。現行の賃作業サービスについて規模拡大の兆しはあるが, 少子化と後継者難の問題を抱えている農家の存在が浮き彫りとなり, 現地では新たな営農展開の構築を行う必要性に迫られていることが明らかになった。農民に求められている移転技術としては, 耕種に関する限り, 水稲作を中心とする技術に関心が高く, 質的向上の技術よりも比較的導入しやすい量的拡大の技術が現実的であると把えられていることが判明した。技術移転を担う専門技術員の育成体制は遅れており, このことが農業の低収性の一因となっているものと考えられた。

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