日本薬理学雑誌
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経皮非ステロイド性抗炎症薬 Etofenamate の In vitro 抗炎症作用機序
中村 秀雄元吉 悟石井 勝美世戸 康弘下田 敦子門河 敏明
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1987 年 89 巻 1 号 p. 15-24

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抄録

flufenamic acidのdiethylene glycolエステルである外用非ステロイド性抗炎症薬etofenamateの抗炎症作用機序を明らかにする目的で作用機序に関連した諸種in vitro作用を検討した.etofenamate(3μM)はリン酸緩衝液中ラット腹腔マクロファージとの30および60分間のインキュベートでそれぞれ39.5%および57.0%がflufenamic acidに加水分解された.このマクロファージによるPGE2産生(MEM培養液中)に対してetofenamateは,flufenamic acidと同様に,1~30μMで濃度依存的な抑制作用を示した.このときのflufenamic acidへの加水分解率は15%以下であったことから,etofenamate自体のPGE2産生阻害作用が推察された.モルモット腹腔多型核白血球由来5-リポキシゲナーゼに対してetofenamateは濃度依存的阻害活性(IC50=53μM)を示し,その効力はcaffeic acidよりも勝れていた.flufenamic acidは100μMで無効であった.ラット赤血球の加温低張誘発溶血およびウシ血清アルブミンの熱変性に対してetofenamateはflufenamic acidの3分の1またはそれ以下の抑制作用を示した.以上の結果から,塗布適用されたetofenamateは,炎症巣で加水分解を受けて生成されるflufenamic acidによるprostaglandin合成の阻害,etofenamate自体によるリポキシゲナーゼの阻害ならびにマクロファージでのprostaglandin合成の阻害などの作用に基づいて抗炎症作用を発揮することが推察された.

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