日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
大腸内視鏡の手技に伴うまれな偶発症にはどのようなものがあるか?─英文報告のレビューから─
日山 亨田中 信治茶山 一彰吉原 正治
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2011 年 53 巻 2 号 p. 233-247

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抄録

今回,大腸内視鏡の手技に伴うまれな偶発症に関する報告について,レビューを行った.1990年から2009年末までに英語で医学雑誌に発表されたもの(抄録を含む)をMedlineを用いて検索した.ただし,報告患者数が50名を超えるものは除外した.これら報告からデータを抽出し,検討を行った.該当する偶発症としては,(1)出血:横行結腸間膜裂傷(出血)や後腹膜出血等,(2)腸間膜血管機能不全:腸間膜動脈閉塞症や一過性型虚血性大腸炎,(3)気腫・気胸・緊張性気腹:皮下気腫,陰嚢気腫等,(4)小腸穿孔,(5)ヘルニア関連:横隔膜ヘルニア,イレウス等,(6)感染症関連:虫垂炎,敗血症等が報告されていた.報告の中には死亡例もあった(虚血性腸炎や虫垂炎等).大腸内視鏡に伴うまれな偶発症の中には迅速な対応が必要なものもあり,内視鏡医はこれらについても,十分な知識を持っておく必要があると思われた.

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© 2011 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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