アラゴナイト構造を取るSr2+は、同じくアラゴナイト構造の結晶に取り込まれやすく、カルサイト構造には取り込まれにくい不適合元素であることが知られている。我々の実験ではストロンチウムを取り込んだACCを加圧することで結晶化させ、ストロンチウムが本来入りにくいカルサイト結晶中に取り込まれるかを調べた。その結果、出発溶液中のストロンチウム濃度が上昇するにつれて、ACCを加圧して得られたカルサイトの格子体積の上昇が観測された。これによって、カルサイトの構造中にSr2+が取り込まれたことが分かった。比較試料の格子体積はSr/(Sr+Ca)が8%程度までは増加し、その後ほぼ一定となったことから、ACCを経由したカルサイトの方がストロンチウムを多く取り込んでいたことが分かった。特性X線マッピングから、取り込まれたストロンチウムは一様に分布していることが分かり、加熱した試料からは、炭酸ストロンチウム結晶は検出されず、格子体積の減少も見られなかった。