日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
百寿者の日常生活自立度と血清アルブミン濃度に関する研究
野崎 宏幸野原 由美子瑞慶覧 涼子安次富 郁哉稲福 徹也秋坂 真史鈴木 信
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1998 年 35 巻 10 号 p. 741-747

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抄録

女性73名, 男性22名の百歳以上の高齢者 (百寿者) 95名を対象として日常生活自立度と血清アルブミン濃度との関連について検討した. 百寿者の日常生活自立度は, 女性はランクJ (生活自立) が12名, ランクA (準寝たきり) 18名, ランクB (寝たきりではあるが座位可能) 20名, ランクC (寝たきり) 23名であった. 男性はランクJ9名, ランクA7名, 寝たきり (ランクB+ランクC) 6名であった.
女性では自立百寿者の血清アルブミン濃度の平均±標準偏差は4.0±0.4g/dlで, 成人の基準値の下限であった. 各ランクの血清アルブミン濃度はそれぞれランクA3.7±0.4g/dl, ランクB3.5±0.3g/dl, ランクC3.4±0.4g/dlで, ランクBとランクCでは自立百寿者より血清アルブミン濃度は有意に低下していた. 男性では自立百寿者の血清アルブミン濃度は3.9±0.3g/dlと成人の基準値の下限よりやや低く, 自立度の低い寝たきり (ランクB+C) 百寿者の血清アルブミン濃度は3.1±0.3g/dlと自立百寿者より有意に低下していた.血清蛋白電気泳動によるA/G比およびアルブミン分画の検討でも, 男女共に血清アルブミン濃度とほぼ同様の成績が得られた. 血清総蛋白濃度および末梢血ヘモグロビン濃度に関しては, 自立百寿者と寝たきり百寿者との間に有意な差はなかった.
血清アルブミン濃度は百寿者の日常生活自立度をよく反映し, 予後の推測にも役立つ可能性を持つ有用な指標であった.

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