抗生物質起因性大腸炎は高齢者に多い疾患といわれている. 高齢者においても, 生活様式の変化などにより, その臨床像も変化している可能性がある. そこで, 高齢者を対象とした当院で最近経験した54例, 平均年齢80.5歳を対象とし, 原因抗生物質, 投与期間, 発症までの期間, 基礎疾患, 症状, 検査所見, 治療方法, 予後について retrospective に検討した. 偽膜性大腸炎 (PMC) は急性出血性大腸炎 (AHC)より高齢者, 女性に多い傾向があり, 起因抗生剤はセフェム系, ペニシリン系が多い傾向があった. PMCの症状の trias は下痢, 発熱, 腹痛であり, PMCの基礎疾患は神経精神疾患が多く, AHCでは糖尿病が多かった. 最近のPMCの toxin Aによる発症機序と予防について解説を加え, 報告する.